2026年6月3日、Search ConsoleにAI除外ボタンが登場した
\n2026年6月3日、GoogleはSearch Consoleに「AI Overviews opt-out toggle」と呼ばれる新機能を発表した。6月17日から実際に効力が発生し、対象は現時点で英国のサイトオーナーの一部に先行提供されている(Search Engine Land 2026-06-03)。
\nこの機能の背景には、英国CMA(Competition and Markets Authority)が2024年に制定したDMCC法(Digital Markets, Competition and Consumers Act 2024)がある。Googleへの拘束力ある行為要件(Binding Commitments)として、サイトオーナーにAI検索からのオプトアウト権を付与することが法的に義務付けられた。つまり、これはGoogleが自発的に提供した機能ではなく、政府規制によって生まれた「世界初の公的なAI検索除外権」だ。
\n日本のWEBディレクターが直接操作できる状況にはまだないが(現在はUK先行)、今後グローバル展開される前に、「使う?使わない?」の判断軸を今のうちに整理しておくことが、準備として正しい。
\n\n「除外」で何がブロックされるのか — 対象範囲の正確な理解
\nSC上のトグルひとつで、次の3つが同時にブロックされる:
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- AI Overviews(通常検索画面の上部に表示されるAI要約) \n
- AI Mode(会話型のAI検索体験) \n
- Discover内のAI Overviews(AndroidホームやChromeのDiscoverフィード内AI要約) \n
しかし、重要な例外がある。Geminiアプリ(単体アプリとしてのGemini)には、このSCトグルは適用されない。GeminiアプリのAI応答はSCの管轄外であり、CMAはこれを別途2027年3月までに整備することをGoogleに義務付けている。「AIから完全に除外した」と思っても、Geminiアプリでの引用は続く可能性があることを知っておく必要がある。
\nまた、トグルは「可逆的」だ。使ってみて問題があれば、元に戻せる。この点は判断を焦る必要がないことを示唆している。
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\n通常検索への影響はない — Google公式の説明と、残る疑問
\nGoogleは除外トグルについて明確に声明を出している:
\n"This control will not be used as a ranking signal for search results outside of these Generative AI Search fEATures."\n
つまり、AI機能から除外しても、通常のオーガニック検索順位には一切影響しない。SEO観点でのペナルティはないという意味だ。
\n一方で「残る疑問」もある。除外後に「AIに引用されなくなったことで、間接的にブランド露出が下がり、長期的な指名検索数が減るのでは?」という間接効果の懸念だ。これは現時点で定量データがなく、答えが出ていない。
\n\n専門家が「今は使えない」と言う理由 — クリックデータという欠けたピース
\nSearch Engine Journal の Matt G. Southern(2026年6月6日)は、このトグルの問題点を鋭く指摘した:
\n"One gives publishers the exit door. The other shows what it would cost to walk through it—suggesting the cost cannot yet be calculated."\n
「除外できる扉がある。しかし、その扉を通る費用を計算するためのデータがない」——これが今の状況だ。
\nGSCの生成AIパフォーマンスレポートは、現時点でインプレッション数(表示回数)しか提供していない。クリック数がなければ、CTR(クリック率)も計算できない。「AIから除外することで、実際にどれだけのトラフィックを失うか」を数値化する手段がないまま判断することは、データドリブンではなく「勘」による意思決定だ。
\nCMAはGoogleに対して、2027年3月までにクリック数・CTR・通常検索との分離データの提供を義務付けた。逆に言えば、それまでの間は「除外コスト」を正確に試算できないまま判断を迫られるということだ。
\n🔧 当サイト: GSCは生成AIパフォーマンスレポートでインプレッションを計測中(クリックデータ開放待ち)\n\n「除外しない」を支持する3つの数字
\n理屈の話だけでなく、具体的な数字を整理しておく。これが「除外しない」という判断の根拠になる。
\n\n① AI Overview引用サイトは、引用されないサイトより120%多いクリックを獲得(Seer Interactive)
\nSeer Interactiveが53ブランド・2.43億インプレッション(2025年1月〜2026年2月)を分析した結果、AI Overview内で引用されたブランドは、引用されなかったブランドより1インプレッションあたり120%多いクリックを獲得していた(Search Engine Land)。「AI Overviewがクリックを奪う」という通説に対するカウターデータだ。引用されることは、むしろクリックを守る手段になっている。
\n\n② AI経由のコンバージョン率は通常検索より42%高い(Adobe Analytics 2026 Q1)
\nAdobe Analyticsが米国小売サイトへの1兆回以上の訪問を分析した結果、2026年第1四半期のAI経由訪問者のCVRは通常訪問者より42%高かった(TechCrunch 2026年4月16日)。前年同期は-38%だったことを考えると、劇的な逆転だ。なお、この数字は米国の小売業向けのデータであり、WEBサポート・情報系サイトへの直接適用には自己実証データが必要だという点は正直に留保する。
\n🔧 当サイト: GA4「AI Search」チャネルで計測中。CVR比較は蓄積待ち\n\n③ Google検索の68%はゼロクリック。「引用される側」にいなければ存在しない(SparkToro 2026)
\nSparkToro(2026年1〜4月)の調査では、Google検索の68.01%がクリックなしで終了した(2024年:60.45%。10年前の2016年頃は45%)。AI Modeはまだ全検索の0.34%にすぎないが、AI Overviewは20%以上のクエリに出現し、出現時のCTRを約60%低下させる。
\nつまり68%のユーザーはAI Overviewに満足してクリックせずに離れる。この68%の世界で、除外ボタンを使って「AI Overview内の存在感をゼロにする」ことは、最も流入ゼロの世界に自分を追いやることを意味する。
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\n当サイトの選択 — archives/76続報・「除外しない」を選んだ理由
\n当サイトはarchives/76「AIに表示された回数を知っているか — GSC・GA4・Bing、3ツール立体計測の正直な現在地」で、生成AIパフォーマンスレポートとGSCオプトアウト機能について報告した。あれから約5週間が経過した。
\n今の状況を正直に報告する:
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- 生成AIパフォーマンスレポート: 有効化済み。インプレッション数を毎日確認している ✅ 当サイト実施中 \n
- AI除外ボタン(コンテンツブロック): 使わない選択をした ✅ 未使用を継続中(判断済み) \n
理由は3つの数字が示している通りだ。AI Overviewに引用されることはクリックを守る手段になる(+120%)。AI経由の質は上がっている(CVR +42%)。ゼロクリック68%の世界で除外すれば存在感がゼロになる。
\nもうひとつ、技術的な理由がある。当サイトはプレスリリース常態化を推進中(dISPatch 126件のメアドリスト構築済み)。AIに引用されることはブランドメンションの蓄積でもある。archives/73「被リンクの時代は終わったのか? — AIに引用される「ブランドメンション」を、当サイトはこう増やしている」で記録したように、AI引用は外部評価の積み上げと連動している。除外はこの流れを自分で止めることになる。
\nただし、これは「クリックデータが出たら再検討する」という条件付きの判断だ。CMAが義務付けた2027年3月のデータ開放後に数字を見直し、必要なら判断を変える準備はある。自己実証の規律として、ここに正直に記録しておく。
\n\n除外を検討すべきケース — 例外的な状況
\n「原則使わない」という立場を述べた上で、例外的に検討すべき状況もある:
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- 購読型パブリッシャー(ペイウォールメディア): AI Overviewが有料コンテンツの内容を要約して無料で提供するリスクが最大。収益モデルへの直接的なダメージがある場合は除外の合理性が高い \n
- B2Bで競合に引用が誤帰属されているケース: 自社情報がAI回答で競合として紹介される等、ブランドセーフティ上の問題が具体的に発生している場合 \n
- クリックデータ開放後に除外コストを試算できた時: 2027年3月以降、クリック数・CTRデータが出そろった段階でコスト計算が可能になる。そこで「除外しても問題ない」という数字が出れば、判断を変えることは理にかなっている \n
いずれも「計算できた上での判断」が前提だ。数字なき除外は慎重に。
\n\nWEBディレクターが今週やること — 3ステップ
\n「除外ボタンを使う/使わない」よりも先にやるべきことがある。
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- GSC生成AIパフォーマンスレポートを確認する: Search Console左メニュー「検索パフォーマンス」→「生成AI(ベータ)」。まずインプレッションを見る。「AIに表示されているか」を知ることが最初の一歩だ。archives/76「3ツール立体計測」で設定手順を確認できる。 \n
- GA4「AI Search」チャネルの流入とCVRを確認する: GA4カスタムチャネルグループに「AI Search」を追加して、ChatGPT/Gemini/Perplexity等からの流入とコンバージョン率を計測する。「AI流入は多いがCVRが低い」サイトと「AI流入のCVRが高い」サイトでは、除外の判断が変わってくる。 \n
- Ahrefs Brand Radarまたは同等ツールで「ChatGPTでの引用情報」を確認する: 自サイトが現在AIにどれだけ引用されているかを把握する。引用がゼロなら除外ボタンよりもGEO・AEO施策が先だ。引用が多くCVRも高いなら、除外はリスクになる。 \n
この3ステップを踏んだ後に初めて、「除外するかどうか」の判断が意味を持つ。データなき判断は、「扉を開ける前に出口を塞ぐ」ようなものだ。
\n\nまとめ — 「除外ボタン」は使うな、ただし計測はしろ
\n現時点でのロンの結論は明確だ:
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- ✅ SC AI除外ボタンは原則使わない — AI引用がCTRとCVRを守る根拠がデータで出ている ✅ 当サイトの選択 \n
- ✅ 生成AIパフォーマンスレポートは使う — インプレッション変化を毎日記録する ✅ 当サイト実施中 \n
- 🔧 クリックデータ(2027年3月開放予定)が出たら再判断する 🔧 計測継続中 \n
- 🔧 GA4 AI Searchチャネルで自サイトのAI経由CVRを実測する — 一般データだけでなく自サイトの数字を積む 🔧 計測継続中 \n
「除外ボタン」は権利だ。持っているからといって使う義務はない。データが揃った時に初めて、使うかどうかを自分の言葉で決められる。今は計測に集中する時だ。
\n\n除外ボタンの代わりにやること — 「引用される側」になる4つの施策
「除外しない」という判断をした上で、次の問いは「では何をするか」だ。AI引用を積み上げる施策は除外ボタンの検討より先にある。当サイトが実際に進めている4つの代替アプローチを正直に記録する。
- GEO(生成エンジン最適化)施策: 構造化データ・エンティティSEO・E-E-A-Tの強化がAI引用を増やす本道。Googleが「AI最適化ガイド(2026-06-15版)」で推奨した公式施策。非推奨のchunking・FAQスパムと混同しないことが重要。非推奨施策の整理はarchives/79参照。 ✅ 当サイト実施中
- ブランドメンション・earned media戦略: AI引用の82〜89%はearned media(Muck Rack調査)。プレスリリース常態化やメディア掲載で「他メディアに言及される実績」を積むことがAI引用に直結する。ブランドメンション戦略の詳細はarchives/73参照。 ✅ 当サイト実施中(dISPatch 126件体制)
- llms.txt設置: AI Agentへのナビゲーションファイル。IDEエージェント等のB2Aトラフィックに有効で、採用率10%の先行施策。全URL羅列ではなく、読んでほしいページをキュレーションした構造化版が効果的。当サイトの実装記録はarchives/68参照。 ✅ 当サイト実施済(59行キュレーション版)
- AI可視性の3ツール計測継続: GSC生成AIパフォーマンスレポート・GA4「AI Search」チャネル・Bing AI Performanceで引用状況を把握し続ける。「除外するかどうか」の判断材料もここから生まれる。3ツール立体計測の手順はarchives/76参照。 ✅ 当サイト実施中
📌 関連コンテンツ
\n・AIに表示された回数を知っているか — GSC・GA4・Bing、3ツール立体計測の正直な現在地(本記事の前編)
\n・AI OverviewとAI Modeは別の海 — 引用URL重複13.7%問題と、WEBディレクターが今すべき2海作戦
\n・Googleが「やるな」と言ったGEO施策 — chunking・llms.txt量産・FAQスパムが非推奨になった一次情報整理
\n・被リンクの時代は終わったのか? — AIに引用される「ブランドメンション」を、当サイトはこう増やしている
\n・品質評価ガイドライン(QRG)最新版とAI評価の接点
\n・SimilarwebとGA4で「AI流入の全体像」を立体的に把握する
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