2026年6月3日、Googleは2つのことを同時に発表した。
ひとつは「Search Consoleに生成AIパフォーマンスレポートを新設する」こと。自社サイトがAI OverviewやAI Modeに何回表示されたか(インプレッション)が、初めて公式ツールで確認できるようになった。ひとつは「2026年6月17日に、AI Overview・AI Modeへの自サイト表示をドメイン単位でブロックできるオプトアウトトグルを有効化する」こと。英国CMAの拘束力ある命令への対応だ。
この2つのニュースは、WEBディレクターに「AIの中で自分のサイトはどこにいるのか」を問い直す機会を与えた。表示のコントロール権が手に入る。でも計測できるのはインプレッションだけ。クリックもクエリも見えない。それが2026年6月の現実だ。
この記事では、現在使える3つの公式ツール——GSC生成AIレポート、Bing AI Performance、GA4 AI Assistantチャネル——の定義と使い分けを整理する。限界も正直に書く。当サイトの実践状況も包み隠さず開示する。
「表示された回数」がついに見えるようになった
2026年まで、AIに「見えているかどうか」は外から推測するしかなかった。ChatGPTやPerplexityのようなAIが自サイトを引用していたとしても、GA4の参照元を目を凝らして眺めるか、Bing Webmaster Toolsで引用数を確認するかしかなかった。
Googleの生成AIパフォーマンスレポートは、その構造に一本の柱を加えた。
「Google AI Overviewに、あなたのサイトが何回表示されたか」がわかる。
ただし——インプレッションだけだ。クリック数、CTR、どんなクエリに対して表示されたかは公開されていない。データ開始は2026年5月18日以降のみで、遡及できない。現時点では英国サイトオーナーの一部から順次展開中だ。
それでも、この1指標は意味がある。「インプレッションがゼロ」なら、AIに引用される以前の段階にある。「インプレッションが増えている」なら、コンテンツ改善が効いている証拠になる。数字に意味があるのは、それが継続的に計測されるからだ。
GSC生成AIパフォーマンスレポートの正体 — 何がわかり、何がわからないか
Google Search Centralが2026年6月3日に正式発表した「Generative AI performance reports in Search Console」の実態を整理する。
取得できる指標
- インプレッション数(AI Overviewに表示された回数)
- 絞り込み軸: ページ / 国 / デバイス / 日時(時間・日・週・月単位)
- 対象: AI Overviews・AI Mode・Discoverの「AI機能」への表示
- データ起点: 2026年5月18日以降のみ(遡及不可)
取得できない指標
- クリック数: 計測なし
- CTR: 計測なし
- クエリ: 非公開(Googleはプライバシー保護を理由とするが、公式の詳細説明は出ていない)
- 順位: AI Overviewに「何位で表示されたか」は不明
- AI OverviewとAI Modeの区別: 両者の合算のみ
既存のパフォーマンスレポートとの関係についても整理しておく。AI Overviewのインプレッションはこれまで通常レポートの合算に含まれていた。新レポートはそれを分離表示するもので、合計インプレッションは変わらない。
✅ 当サイト確認済み当サイトのGSCへの展開は確認できていないが(2026年6月14日時点)、対応の準備として、全記事のE-E-A-T整備・構造化データ実装・llms.txtのキュレーション版公開を進めている。
2026年6月17日「AIブロック」オプトアウトトグル — あなたのサイトはオプトアウトすべきか
GSC AIレポートと同時に発表されたオプトアウトトグルは、2026年6月17日(本記事公開から3日後)に有効化される。英国CMA(競争・市場庁)の拘束力ある命令への対応だ。
オプトアウトの対象と対象外
- 対象: AI Overviews、AI Mode、Discover AIフィーチャー(ドメイン単位で一括ブロック)
- 対象外(重要): Geminiアプリ(別系統のため適用外)/ Copilot・ChatGPTなど他社AIサービス
- ランキングへの影響: なしとGoogleは明言
オプトアウトすべきか——ビジネスモデルで判断する
「AIにブロックされる」ではなく「自分でブロックするかどうかを選ぶ」という問いだ。
| オプトアウトすべきケース | オプトアウト不要のケース |
|---|---|
| 購読型コンテンツ(AI要約で完結されると課金転換が失われる) | B2B/エージェンシー(引用でブランド認知につながる) |
| 独自調査データが主要資産のサイト(AIに要約されると差別化が薄まる) | 情報提供を主目的とするメディア(流入より認知が重要) |
| Information Agentsに引用されることを目指すサイト |
当サイト(WEBディレクター向け情報提供サービス)はオプトアウトしない判断だ。AIに引用されることが「信頼の証明」として機能する。引用を通じてサイトを知ってもらい、直接検索(指名検索)につなげるのが戦略だ。
✅ 当サイト: オプトアウトしない(引用獲得戦略を継続)Bing AI Performance — 「引用されている」をCopilot側から計測する
2026年2月11日に正式リリースされたBing AI Performanceは、Microsoft Copilotが自サイトを引用した回数を計測できる。無料のBing Webmaster Toolsに含まれている。
計測できる指標
- 合計引用数(Copilotが回答生成時に参照した回数)
- 1日平均引用ページ数
- Grounding Queries(Copilotが内部発行するサブクエリの件数——ユーザーの実入力とは異なる)
- Citation Share(特定クエリでの引用シェア率)— 2026年4月27日に追加
注意: クリックデータはない
Copilotはユーザーが「クリックして移動する」前にコンテンツを消費する。OtterlyAIの実測では、AI影響の99%以上はクリックとして現れない。Bing AI Performanceの「引用数」は「露出量」として読む指標だ。
Bing Webmaster Tools登録手順(5ステップ)
- bing.com/webmastersにMicrosoftアカウントでアクセス
- DNSレコード・XMLファイル・メタタグのいずれかでサイトを認証
- 左メニューの「Reports」→「AI Performance」を開く
- 引用数・Grounding Queriesを確認
- Citation Shareで特定クエリでの引用シェアを把握し、補強する記事・ページを特定
GA4 AI Assistantチャネル — AI Mode流入が見えない理由と現実的な計測の設計
2026年5月13日、GA4のDefault Channel Groupに「AI Assistant」チャネルが自動追加された。ChatGPT・Gemini・Copilot・Claude・Deepseek・Grokなどからの流入が自動分類される。
重要な盲点: AI Modeは「AI Assistant」に含まれない
GA4のAI Assistantチャネルの定義文には「GoogleのAI OverviewsとAI Modeは除外する」と明記されている。AI Mode経由のクリックは従来通りOrGAnic Searchに混ざる。これは2026年6月時点でGoogleが変える予定のない設計方針だ。
つまり「AI Mode経由のクリックをGA4でもSearch Consoleでも単独分離する手段は、2026年6月時点で存在しない」——これが計測設計の出発点になる。
GA4でできること
- ChatGPT・Claude・Perplexity等の他社AI経由のセッション・CV・CVRを確認
- 過去データは「Forward-onlyprocessing」のため、2026年5月13日以降のデータのみ(遡及不可)
- カスタムチャネル「AI Search」を自分で設定すると、正規表現で細かく制御可能
当サイトでは自前の「AI Search」カスタムチャネルを2026年6月11日に設定済みで、毎朝の定点レポートでAI経由セッションを追跡している。直近の実数はまだ小さいが(openai経由3セッション・bing orGAnic 6セッション/30日)、計測基盤なしでは変化に気づけない。
✅ 当サイト: GA4「AI Search」カスタムチャネル設定済み・毎朝追跡中
Aleyda Solisの「3層フレームワーク」で整理する
SEOコンサルタントのAleyda Solisが2026年に提唱した「AI可視性 3層フレームワーク」が、3ツールの使い方を的確に整理している。
| 層 | 問い | 使うツール | 指標 |
|---|---|---|---|
| Layer 1: Presence (存在感) | AIに「見えて」いるか? | GSC 生成AIレポート Bing AI Performance | AI表示インプレッション / Copilot引用数 |
| Layer 2: Readiness (準備状態) | なぜ見える・見えないか? | 構造化データ検証 E-E-A-T監査 | スキーマ実装率・著者情報の充実度 |
| Layer 3: Business Impact (事業影響) | 価値に転換しているか? | GA4 AI Assistantチャネル カスタム「AI Search」チャネル | セッション数・CVR・コンバージョン |
この3層を同時に埋めることで、「AIに見えている → なぜ見えているか → ビジネスに転換しているか」が一本の線でつながる。どれか一層だけを計測しても、全体像はつかめない。
当サイトの現在地 — 正直な3ツール計測の状態
当サイト(website.usersupports.com)の3層それぞれの実状を正直に書く。
Layer 1: Presence(GSC AIレポート + Bing AI Performance)
- GSC AIレポートの当サイトへの展開: 未確認(2026年6月14日時点)。確認でき次第、毎朝の朝レポートで数値化する予定 🔧 展開待ち
- Bing AI Performance: Bing Webmaster Tools認証済み。AI Performanceデータ蓄積中 🔧 蓄積中
Layer 2: Readiness(構造化データ + E-E-A-T)
- 構造化データ: OrGAnization / FAQPage / Article / Person(著者スキーマ)実装済み ✅ 実装済み
- Wikidata登録(Q140030002): sameAsで紐付け済み ✅ 実装済み
- llms.txt: キュレーション版(59行)公開済み ✅ 設置済み
- favicon: SVG・manifest.json・48px ICO の現代的セット実装済み(2026-06-12)✅ 実装済み
Layer 3: Business Impact(GA4 AI Assistant + カスタムチャネル)
- GA4「AI Search」カスタムチャネル: 設定済み(2026-06-11)✅ 計測中
- 直近30日の実数: openai経由3セッション / bing orGAnic 6セッション。まだ小さい
- 傾向: 直帰率は低め(目的を持って来るAI経由訪問の特性と一致)
正直に言うと、当サイトのAI流入はまだ「小さい」段階だ。ただし「小さい」と「ゼロ」は違う。計測基盤を整えることで、初めて変化に気づける。GSC AIレポートが当サイトに展開されたとき、既にBing引用データとGA4流入データがあれば、3層の比較ができる。それが今やっていることだ。
まとめ — 「計測できること」と「できないこと」を正確に理解してから動く
- GSC 生成AIレポート: Google AI OverviewのインプレッションのみOK。クリック・クエリ・CTRは非公開。データ起点2026-05-18。6/17からオプトアウト可能(ランキング影響なし) ✅ 当サイト: オプトアウトしない
- Bing AI Performance: Copilotの引用数・Grounding Queries計測可能。クリックデータなし。無料のBing Webmaster Toolsに含まれる 🔧 当サイト: データ蓄積中
- GA4 AI Assistantチャネル: ChatGPT・Claude等のセッション・CVRを追跡。AI Mode・AI Overviewは除外(OrGAnic Search扱い継続)。2026-05-13からデフォルト有効 ✅ 当サイト: カスタムチャネル設定済み・追跡中
Aleyda Solisの3層フレームワーク(Presence → Readiness → Business Impact)の観点で言うと、2026年6月現在、Layer 1(存在感)の計測環境がようやく整ったところだ。Layer 3(事業影響)は他社AIに限り計測できるが、Google自体のAI流入はまだブラックボックスに近い。
この制限の中でWEBディレクターが今やれることは、ひとつだ——計測基盤を先に整えておく。GSC AIレポートが全サイトに展開され、Bing引用データが蓄積し、GA4でAI流入が増え始めたとき、既にデータの文脈を持っているサイトだけが「なぜ変化したか」を答えられる。
今日の「第4の問い」: あなたのサイトでは、AIに「表示された回数」を計測する基盤がすでにあるか? なければ、今日この記事を読んだ後に始める。3ツールを設定するのに、費用はかからない。
AI可視性を高める実践については AI Agentに引用される準備 — llms.txtの次にやること、エンティティSEOの自己実証については エンティティSEOを実際にやった記録 を参照してほしい。構造化データの生成は コウゾウ で、AI対応の自己点検は AI対応診断ツール で今すぐできる。
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