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【2026年8月時点】Google検索品質評価ガイドラインの最新版と改訂履歴 ── 自分のサイトで確認する15項目

目次
  1. 01 いま最新版は何か
    1. 最新版の発行日とページ数
    2. 4部構成の全体像
    3. 評価者に課された作業条件
  2. 02 なぜ、いつ更新されるのか
    1. ガイドラインは採点表ではない
    2. 世界16,000人の評価者体制
    3. PQとNM、そして個々のページ順位との関係
    4. 改善案を検証する4段階プロセスと、更新周期
  3. 03 この記事で出てくる用語
    1. 評価に関わる2つの尺度
    2. 信頼性を測る指標
    3. 対象範囲を分けるYMYLとMC
  4. 04 改訂履歴の全記録
    1. 改訂履歴の一覧
    2. E-E-A-Tの誕生と評価尺度の整理(2022〜2023年)
    3. 信頼性強化と生成AI時代への対応(2024〜2025年1月)
    4. 直近の改訂と、文書内に残る表記のゆれ(2025年9月)
  5. 05 自分のサイトで確認するチェックリスト
    1. チェックリストの3つの観点
    2. 15項目の内訳と、かかる時間の目安
    3. 評価プロセスの順序と、量産コンテンツの見分け方
  6. 06 YMYLに当たるかどうかの判断
    1. 判定の2つの軸
    2. 同じトピックでも、書き手の立場で変わる基準
    3. 「有害」とは別の軸であること、専門性の求められ方
    4. 境界線上の判断と、誤って広げすぎないための歯止め
  7. 07 やってはいけないこと
    1. 評価者向けチェックリストとして誤読する失敗
    2. 透明性を欠く失敗
    3. 利益相反と、放置された量産ページ
  8. 08 このテーマの、これまで
    1. 著者ページ・運営者情報の実装記録
    2. llms.txtとnoindex対応の記録
    3. ガイドラインは更新され続ける。過去記事も見直しの対象になる
  9. 09 この記事のまとめ

01 いま最新版は何か

最新版の発行日とページ数

2026年8月時点で確認できる最新の General Guidelines(検索品質評価ガイドライン)本体は、2025年9月11日付のものです。文書1ページ目に記載された発行日と、本文が実測で182ページ構成であることを、Googleが公開しているPDFファイルを直接開いて確認しました。

4部構成の全体像

この文書は大きく4つの塊で構成されています。まず「Introduction to Search Quality Rating」で評価の前提を説明し、続く Part 1「Page Quality Rating Guideline」でページ単体の品質評価基準を、Part 2「Understanding Search User Needs」で検索意図の読み解き方を、Part 3「Needs Met Rating Guideline」で検索結果全体がその意図にどれだけ応えているかの評価基準を扱っています。「ページそのものの品質」と「検索結果としての有用性」を、別の評価軸として切り分けている点が全体の骨格です。SEOの文脈ではE-E-A-TやYMYLといったPart 1の内容ばかりが取り上げられがちですが、Part 2ではクエリに複数の意味がある場合の扱いや、ユーザーの所在地(ロケール)がどう検索意図に影響するかといった、検索の理解そのものに関わる章も置かれています。詳しくはGeneral Guidelines本体(PDF)の目次を参照してください。

評価者に課された作業条件

ガイドライン冒頭のセクション0では、評価作業そのものの前提条件も定められています。評価者は自分が担当する地域(ロケール)の実際のユーザーを代表する立場で作業すること、広告表示も評価対象に含まれるため広告ブロック拡張機能を無効化した状態で作業すること、そして悪意のあるサイトを調査する際の安全確保についての注意事項が明記されています。細かな取り決めに見えますが、評価が「実際にそのページを訪れたユーザーが何を見るか」を基準にしている、という姿勢の表れです。

注意

一部のSEO系メディアでは「2026年にも大幅な改訂があった」とする記事が見られますが、Google Search Central Blogの記事一覧、および改訂履歴を継続的に追跡している海外メディアの記事一覧を確認した限りでは、2025年9月11日より後の改訂を報じたものは見当たりませんでした。したがって、本記事の執筆時点で確実に言えるのは「2025年9月11日版が現行の最新版」というところまでです。それ以降の改訂の有無については、公式には明示されていません。

02 なぜ、いつ更新されるのか

ガイドラインは採点表ではない

このガイドラインは、検索アルゴリズムを直接動かす採点表ではありません。位置づけを正確に言うと、「検索結果の改善案が、実際にユーザーの役に立っているか」を人手で確かめるための、評価者向けの手引きです。Googleの検索の仕組みの説明でも、ランキングシステムは複数のシグナルの組み合わせで動いており、評価はその改善プロセスの一部と位置づけられています。

世界16,000人の評価者体制

Googleは世界各地に約16,000人の外部評価者(Search Quality Rater)を抱えています。内訳は北米が約7,000人、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が約4,000人、APAC(アジア太平洋)が約4,000人、中南米が約1,000人で、80以上の言語圏をカバーしています。評価者は外部ベンダーを通じて雇用され、自分の個人的な意見や好み、宗教的・政治的な立場ではなく、自分が担当する地域の一般的なユーザーとしての判断を求められます。この体制はSearch Quality Rater Guidelines: An Overviewで公開されています。

PQとNM、そして個々のページ順位との関係

評価者が行う「Search Quality Rating」は2つの部分から成ります。ひとつはページ単体の品質を見る Page Quality(PQ)、もうひとつは検索結果全体がユーザーの意図にどれだけ応えているかを見る Needs Met(NM)です。ここで得られた評価は、個々のページの検索順位を直接動かすものではありません。何百億というページを人手で継続的に評価することは物理的に不可能であり、公式資料でも「単一の評価、単一の評価者が、特定のページやサイトの順位に直接影響することはない」と明記されています。評価結果は集計され、検索アルゴリズムの変更案が狙いどおりに機能しているかを判定する材料として使われます。

改善案を検証する4段階プロセスと、更新周期

Googleが検索の改善案を検証する際の流れは、大きく4段階です。まず改善のアイデアを立て、それを実際の変更案として開発し、ユーザーリサーチ・ライブ実験・評価者によるサイド・バイ・サイドテストを通じて効果を検証し、効果が確認できたものだけを実際の検索に反映します。評価者に割り当てられるタスクの代表例が、このサイド・バイ・サイドテストです。改善案を適用した検索結果と適用していない検索結果を並べて見せ、どちらが良いか、なぜそう思うかを尋ねる形式で行われます。スペルミスの訂正案が正しいかどうかを確かめるタスクなど、検索の細部を支える機能についても、同様に評価者の判断が使われています。

更新のタイミングに、あらかじめ決まった周期はありません。Googleは2022年だけで4,725件以上の検索改善を行ったと公表しており、新しい検索機能や新しいコンテンツ形式、新しい悪用パターンが生まれるたびに、評価者への指示もそれに追いつく必要が生じます。実際、次章の改訂履歴を見ると、更新の間隔は数か月のこともあれば1年以上空くこともあり、一定していません。

03 この記事で出てくる用語

本文で繰り返し使う4つの用語を、先に整理しておきます。

評価に関わる2つの尺度

用語

Page Quality(PQ):公式資料の説明によれば、ページ単体が、そのページの目的をどれだけ達成できているかを見る評価軸です。評価は Lowest・Low・Medium・High・Highest の5段階で行われます。Lowest は「信頼できない、欺瞞的、人や社会に有害、その他の著しく望ましくない特徴を持つ」ページ、Low は「有益な目的で作られたが、重要な点で欠けているため目的を十分に果たせていない」ページ、Medium は「有益な目的を持ち目的を果たしてはいるが、High と評価するほどではない」ページ、High は「有益な目的を持ち、その目的をよく果たしている」ページ、Highest は「有益な目的を持ち、その目的を非常によく果たしている」ページを指します。

用語

Needs Met(NM):特定の検索結果が、そのクエリを入力した人の意図にどれだけ応えているかを見る評価軸です。Fails to Meet(ほとんどのユーザーの意図に完全に応えられない結果)を起点に、Slightly Meets、Moderately Meets、Highly Meets、そして意図が明確で対応する1つの結果を探しているクエリにのみ使われる特別区分の Fully Meets まで、段階的に評価されます。

信頼性を測る指標

用語

E-E-A-T:Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trust(信頼)の頭文字です。General Guidelinesは、この4つのうちTrustを「E-E-A-Tという家族の中心にある、最も重要なメンバー」と位置づけています。どれだけ経験や専門性、権威性があるように見えても、信頼できないページはE-E-A-Tが低いと評価されるという考え方です。

E-E-A-Tを構成する4要素の関係図。Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)の3つが周囲を囲み、Trust(信頼)が中心に置かれている。Trustが他の3要素を支える土台であることを示す図。
E-E-A-Tの4要素とTrustの位置づけ

対象範囲を分けるYMYLとMC

用語

YMYL(Your Money or Your Life):人の健康・経済的な安定・安全、または社会の福祉に大きな影響を与えうるトピックを指します。ガイドラインは、YMYLに該当するかどうかを「健康・安全」「経済的な安定」「政治・社会・公共」「その他」の4分類で判断するよう求めています。詳細は06章で扱います。

Main Content(MC):ページの中で、そのページの目的を直接果たしている部分を指します。ガイドラインは、MCが高品質であるための条件として「相応の労力・独自性・才能やスキルを要すること」を挙げています。広告や補足的な情報(Supplementary Content)とは区別して評価される対象です。

04 改訂履歴の全記録

改訂履歴の一覧

このガイドラインは2015年11月に、Googleによって初めて全文が一般公開されました。それ以前も評価者向けの内部文書として運用されていたとみられますが、外部から継続的に確認できる公式な改訂の記録は、この全文公開以降のものになります。以下は、Google Search Central BlogおよびGoogleの公式概要記事、そして現行のGeneral Guidelinesの記述から確認できた主要な改訂を時系列に並べたものです。細かな文言修正まですべてを網羅しているわけではありません。

時期主な変更
2015年11月
初回一般公開
ガイドライン全文を初めて一般に公開
2017年
更新
誤解を招く情報を含むページについて、詳細な事例を追加
2020年
更新
辞書・百科事典系ページの有用性判定に関するガイダンスを追加
2021年10月
更新
「最低品質」コンテンツの定義を明確化し、ウェブサイト評判調査ガイドを更新
2022年12月
更新
E-A-TにExperience(経験)を追加し、E-E-A-Tに拡張
2023年11月16日
更新
168ページ
Needs Met尺度の定義を簡素化。ショート動画など新しいコンテンツ形式の例を追加。古い事例を削除し、フォーラム・ディスカッションページの評価指針を拡充
2024年2月
更新
170ページ
「信頼できないページ」の特徴を更新し、実例を追加
2025年1月23日
更新
181ページ
「生成AI」の公式な定義をセクション2.1に新設。期限切れドメインの悪用・サイト評判の悪用・スケールコンテンツの悪用という3種のスパム分類を新設。フィラーコンテンツに関する指針を追加
2025年9月11日(現行版)
更新
182ページ
YMYLの分類「Society」を「Government, Civics & Society」に改称・拡張。AI Overviewの評価事例を追加
General Guidelinesの改訂履歴を示すタイムライン図。2015年11月の初回一般公開から、2017年・2020年・2021年10月・2022年12月・2023年11月16日・2024年2月・2025年1月23日・2025年9月11日(現行版)まで、8回の主な改訂を時系列に並べたもの。
General Guidelines 改訂履歴タイムライン(2015年11月〜2025年9月)

E-E-A-Tの誕生と評価尺度の整理(2022〜2023年)

2020年前後までの改訂を振り返る記事は他にも見られますが、2022年末以降の変化は特にコンテンツの作られ方そのものに関わるものです。まず2022年12月の改訂で、E-A-Tに「E」がもうひとつ加わりました。これは、専門性や権威性があるかどうかとは別に、その情報を発信している人物が実際にその対象を経験しているかどうかを、評価の観点に加えるものです。製品レビューであれば、実際にその製品を使った人が書いたレビューと、使ったことのない人が書いた「レビュー」を区別する、という考え方がここに含まれます。

続く2023年11月の改訂では、評価そのものの尺度が整理されました。それまでの「Needs Met」の定義が簡素化され、ショート動画のような新しい形式のコンテンツを評価するための事例が加わり、フォーラムやQ&Aページの評価指針が拡充されています。ウェブページの形式が多様化する速度に、評価の物差しを合わせにいった改訂だと言えます。

信頼性強化と生成AI時代への対応(2024〜2025年1月)

2024年2月の改訂は、「信頼できないページ」に関する特徴づけの更新と、実例の追加に焦点が絞られています。この改訂で、ページ数は168ページから170ページに増えました。他の改訂に比べると変更範囲は狭いものの、信頼性の判断基準を継続的に磨き込んでいる姿勢がうかがえます。

2025年1月の改訂は、生成AIの利用が一般化したことへの直接的な応答です。「生成AIとは何か」という定義がガイドラインに初めて明文化されると同時に、期限切れドメインを取得して低品質なコンテンツを載せる行為、既存の評価の高いサイトに第三者コンテンツを載せて評判を利用する行為、そして自動化ツール(生成AIかどうかを問わない)を使って労力をかけずに大量のページを作る行為が、それぞれ独立したスパムの類型として明記されました。ページ数を効果的に「量産できる」ことそのものが、スパムの定義に組み込まれた改訂です。

直近の改訂と、文書内に残る表記のゆれ(2025年9月)

直近の2025年9月の改訂は、ページ数の増加が1ページのみと小さく、YMYLの分類名の変更とAI Overviewに関する評価事例の追加が中心でした。従来「YMYL Society」とされていた分類が「YMYL Government, Civics & Society」に改称され、選挙・投票情報や公共機関への信頼に関わる話題が、より明確に対象として位置づけられています。改訂を報じた海外メディアの記事では、Google側から「全体的なレーターへの指針そのものに変更はない」というコメントがあったとも報じられており、ページ数の増加が1ページにとどまっていることとも整合しています。

実務のヒント

なお、現行の2025年9月版を実際に開いて確認したところ、興味深い点がありました。YMYLの定義そのものを説明する本文(セクション2.3)では新しい呼称「YMYL Government, Civics & Society」に統一されている一方、別の章にある事例を示した表(セクション3.4.1)では、改称前の呼称「YMYL Society」がそのまま残っていました。改訂が文書全体を一括で書き換える形ではなく、章ごとに手を入れる形で進められている可能性がうかがえます。ガイドラインという文書自体も、隅々まで完全に統一された一枚岩ではないという点は、実務上覚えておいて損はありません。

これらの改訂を通して見えてくるのは、評価の大枠、つまりページの目的を理解した上でTrustを中心に据えて判断するという考え方自体は、2015年の公開時点からほとんど変わっていないという点です。変わり続けているのは、その大枠をどの事例に当てはめるかという解像度の部分です。新しいコンテンツ形式が生まれれば事例が追加され、新しい悪用パターンが見つかれば新しい分類が切られます。改訂を追いかける実務上の意味は、個々の変更点を暗記することではなく、「今、何が新しい評価対象として意識されているか」を定点観測することにあります。

05 自分のサイトで確認するチェックリスト

チェックリストの3つの観点

評価者がPage Quality(PQ)を判定する際に見ている要素は、大きく3つに整理できます。ひとつは主要コンテンツ(Main Content)そのものの質、ふたつめはそのウェブサイトや作成者について「誰が責任を持っているか」が明確かどうか、みっつめはそのウェブサイトや作成者の評判を実際に調べた結果です。以下のチェックリストは、この3つの観点を、公開済みのページに対して今日から確認できる動作に翻訳したものです。チェックの状態はブラウザ内にのみ保存され、サーバーには送信されません。

  • 対象記事の主目的を1文で書き出す(情報提供・販売・意見表明・体験談・エンタメ・道具提供のいずれか)
  • そのページがYMYLの4分類(健康・安全/経済的な安定/政治・社会・公共/その他の被害)のいずれかに当たるか判定する
  • Search Consoleの「ページのインデックス登録」レポートを開き、noindexによる除外件数を控える
  • 記事にある執筆者・監修者の名前と経歴が、本文または著者ページに明記されているか確認する
  • 「会社概要」または「運営者情報」ページを開き、運営主体名・所在地・連絡先が明記されているか確認する
  • レビュー記事に、実際に使用したことを示す一次体験の記述(使用期間・実機写真など)があるか確認する
  • YMYL該当ページの主要な主張に、一次情報源(公的機関・学会・専門家の一次資料)へのリンクが付いているか確認する
  • 本文中の主張のうち、出典リンクが付いていないものを3つ書き出す
  • AIを使って作成した記事に、人間の著者名または編集者名が明記されているか確認する
  • 公開日・更新日が本文またはページのメタ情報に記載されているか確認する
  • 同じキーワードで検索し、上位表示されている競合記事の見出し構成と自社記事の見出しが酷似していないか比較する
  • お問い合わせ窓口(電話・メール・フォームのいずれか)がサイト内で見つかるか確認する
  • アドレスバーでHTTPS化されているかを確認する
  • 広告・アフィリエイトリンクが本文の記述と視覚的に区別されているか確認する
  • 本文中の「〜と言われている」「〜と考えられる」など、出典が示されていない曖昧な表現を3箇所書き出す

15項目の内訳と、かかる時間の目安

15項目のうち、最初の2項目はページの目的とYMYL該当性の確認、4番目から6番目はE-E-A-Tの「誰が書いたか」に関わる確認、7・8番目は一次情報の明示、残りはページ目的の明確化と、ガイドラインが繰り返し言及する「透明性」に関わる確認です。特に5番目・6番目の項目(運営者情報とレビューの一次体験)は、ガイドラインが「ウェブサイトの評判を調べる際、まず"About us"ページや作成者のプロフィールページを出発点にする」よう評価者に指示している箇所と直接対応しています。すべてを一度に埋める必要はありません。まずは公開済みの記事を1本選び、上から順に手を動かしてみることを想定しています。15項目すべてに目を通すのにかかる時間の目安は、1本あたり20〜30分程度です。執筆者・運営者情報を構造化データ(Personスキーマ・Organizationスキーマ)として明示したい場合は、当サイトの🔧 構造化データ自動作成ツールでたたき台を作れます。HTTPS化やセキュリティ設定を外部から一括で確認したい場合は、🔧 セキュリティ対策監査ツールも使えます(利用には無料の会員登録が必要です)。

評価プロセスの順序と、量産コンテンツの見分け方

1番目・2番目の項目(ページの目的とYMYL分類)は、ガイドラインの評価プロセスそのものが最初に踏む手順と対応しています。評価者はまずページの目的を理解し、次にそのページが有害な設計になっていないかを確認してから、初めて品質の採点に入ります。自分のサイトの記事についてこの順序が踏めていない場合、目的が曖昧なまま本文だけを書き進めていることになりがちです。11番目・15番目の項目(見出し構成の比較と、出典のない曖昧表現の洗い出し)は、量産されたコンテンツにありがちな特徴を逆算したものです。競合記事の見出し構成をなぞっただけの記事や、出典を示さないまま「〜と言われている」で済ませる記述は、ガイドラインが高品質な主要コンテンツの条件として挙げる「相応の労力・独自性・才能やスキル」から、もっとも遠い部類に入ります。

06 YMYLに当たるかどうかの判断

判定の2つの軸

YMYLの判定は、ページの種類やサイトの業種で機械的に決まるものではありません。General Guidelinesのセクション2.3は、そのトピック自体が人の健康・経済的な安定・安全、または社会の福祉に重大な影響を与えうるかどうかで判断するよう求めています。判定の軸は「そのトピック自体に危険が伴うか」と「その内容が不正確だった場合に実害が出るか」の2つです。たとえば地震の際の対処法や、住宅ローンの選び方、選挙の投票資格といった情報は、誤りがあれば実際に人の生活に影響します。

YMYL判定の2軸を示すフロー図。縦軸に「そのトピック自体に危険が伴うか」、横軸に「その内容が不正確だった場合に実害が出るか」を置き、両方に当てはまる場合にYMYLと判定される流れを示す。
YMYL判定の2つの軸

同じトピックでも、書き手の立場で変わる基準

一方で、同じ主題でも「誰が、どういう立場で書いているか」によって、求められる基準は変わります。ガイドラインが挙げている例を、日本語で要約した表にまとめました。

YMYLトピック体験談として価値を持ちうる範囲専門家に委ねるべき範囲
妊娠中の睡眠の悩み(健康・安全)自分自身が経験した、安全な体勢の工夫やコツの共有妊娠中に安全な睡眠薬に関する情報
肝がんの治療(健康・安全)治療と向き合う当事者どうしの、誠実な体験の共有治療法ごとの選択肢や生存期間の比較
確定申告の記入(経済的な安定)申告作業のもどかしさを描いたコンテンツ申告書の具体的な記入手順
老後に向けた資産形成(経済的な安定)実際にサービスを使った人によるレビューいくら・何に・いつまで積み立てるかという助言
投票の方法(政治・社会・公共)投票することの大切さを綴った個人の投稿投票資格や登録方法そのものの案内

この表が示しているのは、「体験談だから低品質」でも「専門家の記事だから高品質」でもない、という点です。同じ肝がんというトピックでも、当事者どうしが体験を分かち合う場としての価値と、治療の選択肢を比較検討するための正確さは、別々に評価されます。自分のサイトの記事がどちらの役割を担おうとしているのかを、まず自覚することが判断の出発点になります。

「有害」とは別の軸であること、専門性の求められ方

YMYLの判定は、ページが「有害かどうか」の判定とは別の軸である点にも注意が必要です。ガイドラインが定めるPQ評価の手順では、まずページの目的を偽っていないか、人や社会に害を及ぼす設計になっていないかを確認する段階があり、これに該当すれば、YMYLかどうかにかかわらず即座にLowestの評価が下されます。YMYLの判定は、その次の段階、つまり「有害ではないが、情報の正確さがどこまで厳密に問われるか」を決める基準として働きます。

専門性の求められ方も、トピックによって変わります。ガイドラインが挙げている例として、住宅の電気配線に関する助言は、電気工事の資格を持つ専門家によるものと、古民家愛好家(専門知識を持たない)によるものとでは、同じ「経験に基づく話」でも信頼の置き方が異なるとされています。自社サイトの記事が、どちらの立場から書かれているかを読者に明示できているかどうかも、YMYL判定と合わせて確認すべき点です。

境界線上の判断と、誤って広げすぎないための歯止め

注意

境界線上の判断に迷う場合、ガイドラインは「明確にYMYLである」「明確にYMYLではない」「その中間」という幅のあるものとして捉えるよう求めています。ここで注意が必要なのは、「この主題について、害になりうるページを想像できるかどうか」だけでYMYLを判定してはいけない、とガイドライン自身が釘を刺している点です。虹ができる仕組みや、鉛筆の選び方といった、一見無害なトピックについても、悪意を持って作れば有害なページを作ることは理論上可能です。しかし、そのことをもって虹や鉛筆というトピック自体がYMYLになるわけではありません。トピックそのものが、人の健康・経済的な安定・安全・社会の福祉に対して本質的にリスクを持っているかどうかが、判定の分かれ目です。判定に迷ったら、「この情報が不正確だった場合、実際に誰かが損をしたり傷ついたりするか」を具体的に想像してみることが、実務上の目安になります。

07 やってはいけないこと

ガイドラインを読み違えた結果として起きがちな失敗を、6つ挙げます。

評価者向けチェックリストとして誤読する失敗

ひとつめは、ガイドラインを「評価者に高得点をもらうためのチェックリスト」として扱う読み違えです。E-E-A-Tは評価者が品質を判断するための観点であって、ページに機械的に埋め込む採点項目ではありません。著者プロフィールに実態のない資格や経歴を並べても、Trustの土台がなければ評価は上がりません。ガイドラインが明記しているとおり、Trustを欠くページは、どれだけ経験・専門性・権威性があるように見えても低く評価されます。

注意

ふたつめは、2025年1月の改訂で明記された3つのスパム類型です。期限切れドメインを取得し、そのドメインが持っていた評価を利用して低品質なコンテンツを載せる「期限切れドメインの悪用」、評価の高い既存サイトに第三者のコンテンツを載せてそのサイトの評価を利用する「サイト評判の悪用」、そして労力や独自性、閲覧者への付加価値をほとんど伴わないまま、自動化ツールで大量のページを作る「スケールコンテンツの悪用」です。これらは生成AIの利用そのものを禁じているわけではなく、労力や独自性を伴わずに数だけを増やす行為を問題にしています。生成AIコンテンツに関する公式な考え方でも、コンテンツがどう作られたかではなく、コンテンツの質そのものが評価の対象になるという立場が示されています。

透明性を欠く失敗

みっつめは、ページの目的や運営者情報を隠したり偽ったりすることです。ガイドラインでは、ページの真の目的を偽って利用者を欺くよう設計されている場合、他の要素の評価にかかわらず、即座にLowestの評価が下されると明記されています。誰が運営しているか、誰が書いたかを曖昧にしたまま情報だけを発信する形は、この基準に抵触しやすい構成です。

よっつめは、いわゆる「役立つコンテンツ」を目指すあまり、主目的のはっきりしないページを作ってしまうことです。Googleが公開している役立つコンテンツの考え方と本ガイドラインは、人を助けるという目的を明確に持ったページを高く評価する点で一貫しています。検索エンジンでの順位を主目的にしてページを量産すると、この一貫性から外れやすくなります。

利益相反と、放置された量産ページ

いつつめは、利益相反のある発信者による体験談を、そのまま信頼の根拠にしてしまうことです。ガイドラインは、製品を実際に所有する一般の人によるレビューは価値を持ちうる一方、製品の製造者自身による発信や、対価を受け取って紹介する影響力者によるレビューは、利益相反があるため信頼性が低いと明記しています。自社サイトに掲載する体験談やレビューが、どのような立場から書かれたものかを、読者に対して隠さず示せているかどうかは、見落とされやすい点です。

むっつめは、主目的の判断がつかないほど内容の薄いページを、量産して放置してしまうことです。ガイドラインは、ページの目的を判断できないほど主要コンテンツが乏しい場合や、閲覧者への付加価値がほとんどないまま作られたコンテンツを、Lowest評価の対象として明記しています。過去のキャンペーンで作った着地ページや、更新が止まったカテゴリページが大量に残っている場合、その一つひとつが「目的の判断がつかないページ」として扱われている可能性があります。

08 このテーマの、これまで

著者ページ・運営者情報の実装記録

以前、著者ページや運営者情報の明記について、実際にサイトへ反映した記録を書いたことがあります(archives/71)。E-E-A-Tのうち、権威性や信頼性に関わる部分を自社サイトでどう実装したかという記録です。本記事の05章で「執筆者・監修者の名前と経歴が明記されているか」をチェック項目に挙げているのは、この時の実装がそのまま実務上の起点になっています。

llms.txtとnoindex対応の記録

また、AIエージェント向けの案内ファイルであるllms.txtを実際に設置した記録(archives/68)や、長らくnoindex状態のままだった記事群を一夜で公開状態に切り替えた記録(archives/98)も残しています。いずれも、このガイドラインが求める「透明性」や「ページの目的の明確さ」という観点と、間接的に関わる作業です。

ガイドラインは更新され続ける。過去記事も見直しの対象になる

本記事で扱った改訂履歴のうち、2025年1月・9月の内容は、それらの記録を書いた時点ではまだ存在していませんでした。特に2025年1月に新設された「サイト評判の悪用」や「スケールコンテンツの悪用」といった分類は、それ以前の記録には反映しようがない基準です。ガイドライン自体が更新され続けている以上、これらの過去記事も、いずれ内容を見直す対象になります。ガイドラインを一度読んで終わりにするのではなく、改訂のたびに自分の実装を照らし合わせ直す作業そのものが、このテーマの「これまで」であり「これから」でもあります。

Google検索品質評価ガイドライン(General Guidelines)は2025年9月11日付・182ページが現行版。2015年11月の初回公開から8回の改訂を時系列で整理し、公開済み記事を1本選んで確認する15項目のチェックリストを掲載している。
2025/05/31
THU
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ブラウザ・OS 最新バージョン

毎日更新:2026-10-22 調査更新済
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もうすぐ●●歳。ずっーと現役SE。日本にインターネットが上陸してから、ずっーと携わる。 ほんとは超アナログ人間のギター弾き、バンドマン。でも音楽活動とSE、案外似てる。