トップページ > AI学習の信号をめぐる草案は、作業部会の草案が第08版、個人の草案が第00版で、どちらもまだ標準ではない。草案の状態は名前・種別・有効期限・置き換えの4か所で読める ── 話題になった草案をdatatrackerで確かめる13項目(2026年11月時点)

AI学習の信号をめぐる草案は、作業部会の草案が第08版、個人の草案が第00版で、どちらもまだ標準ではない。草案の状態は名前・種別・有効期限・置き換えの4か所で読める ── 話題になった草案をdatatrackerで確かめる13項目(2026年11月時点)

目次
  1. 01 何が確かめられたか — AI利用の好みを決める草案は、段階が3つに分かれていて、標準になったものはまだない
    1. 作業部会の草案は2本、どちらも第5版と第8版まで進んだ
    2. 個人の草案は、作業部会の一覧の「Related」に並ぶ
    3. クローラーのIP範囲の書式は、期限切れと置き換えを経た
    4. 6本の草案を、同じ項目で並べる
  2. 02 なぜ・背景 — 「草案」と「標準」が、同じ重さで届く
    1. 草案は「作業中のもの」として引用する決まりがある
    2. 草案ページには「承認されていない」とも書かれている
    3. 作業部会の草案にも、「合意を反映しない」という注意がある
    4. 会社や記事の説明は、時点が違うことがある
  3. 03 用語 — 出てくる言葉を、先にそろえる
    1. インターネットドラフト(草案)
    2. RFC
    3. 作業部会(WG)
    4. 個人の草案
    5. IESG
    6. 版(リビジョン)
    7. 有効期限(Expires)
    8. 置き換え(Replaces / Replaced by)
    9. 採用の状態
  4. 04 型別 — 対象、確かめられないこと、確かめる手順
    1. 対象: どんな話で使える読み方か
    2. 確かめられないこと: 状態は進み具合であって、中身の良し悪しではない
    3. 確かめられないこと: 画面の日付が1日ずれて見える
    4. 確かめられないこと: 草案の本文と欄が、食い違うことがある
    5. 確かめる手順1: 名前を決めて、ページを開く
    6. 確かめる手順2: 種別の欄を読む
    7. 確かめる手順3: 4か所を書き写す
    8. 確かめる手順4: 置き換えをたどる
    9. 確かめる手順5: 作業部会の一覧で、居場所を確かめる
  5. 05 明日、担当サイトで確認できることチェックリスト
  6. 06 代替・他の選択肢 — 草案の状態を知る方法を、並べて比べる
    1. datatrackerのデータは、状態を番号で返す
    2. 当サイトの過去の記事にも、状態を確かめる話がある
  7. 07 当サイトで確かめたこと — robots.txtにAIの名乗りの行は0本で、この記事の日付を残す
  8. 08 このテーマは、ここまで — AIの取得と、仕様の状態を、どう確かめてきたか
    1. これまでの記事
    2. 今回の記事の位置
  9. 09 この記事のまとめ

01 何が確かめられたか — AI利用の好みを決める草案は、段階が3つに分かれていて、標準になったものはまだない

引用について

この記事は、IETF(インターネットの技術の標準を決める団体)の文書管理サイト「datatracker」を、2026年11月4日の13時台に開いて確かめた内容を書いている。草案のページ、作業部会AIPREFの文書一覧、datatrackerが公開しているデータ(JSON形式)の3つを読んだ。英文を引くときは原文のまま引き、日本語訳を添える。それ以外は、記事の筆者が日本語に直した要旨で書く。原文に書かれていない筆者の読みは「筆者の読み」と書いて分ける。05章のチェックリストは、筆者が整理したものである。

AIの学習や取得への希望を、サイトからAI事業者へ伝える書き方を、IETFが決めようとしている。その作業で出てくる文書が「草案」「ドラフト」と呼ばれて、担当サイトにも話が届く。担当サイトを預かるWEBディレクターが先に押さえておきたいのは、草案は標準そのものではなく、今どの段階にいるかが文書のページに書いてあるという点だ。この記事では、2026年11月4日時点の実例を使って、そのページの読み方を手順にした。

確かめた結果を先に言うと、AIPREFに関係する草案は、段階が3つに分かれていた。作業部会が育てている草案が2本、誰でも出せる個人の草案が複数、そして期限が切れたり別の名前に置き換わったりした草案である。RFC、つまり標準として番号が付いたものは、AIの利用の好みを表す文書には、まだ1本もなかった。ただしこの確認は、datatrackerに載っている範囲の話で、IETFの外で進んでいる議論は含まない。

作業部会の草案は2本、どちらも第5版と第8版まで進んだ

AIPREF作業部会の文書一覧には、「Active Internet-Drafts」として2本が載っている。1本は、AI利用の好みを表す語彙を決めるdraft-ietf-aipref-vocabで、第08版が2026年9月14日(UTC)に出た。もう1本は、好みをHTTPの通信に結びつける方法を決めるdraft-ietf-aipref-attachで、第05版が2026年8月19日(UTC)に出た。

2本とも、datatrackerの状態の欄は「WG Document」(作業部会の文書)で、IESG(IETFの運営を担う委員会)の状態は「I-D Exists」である。目指す先の欄には、どちらも「Proposed Standard」(標準化の最初の段階)と書かれている。目指す先と、今いる段階は別で、今いる段階は、まだRFCではない。

同じ文書一覧の下の段は、「Related Internet-Drafts and RFCs」(関連する草案とRFC)で、6件が載っていた。10月27日に第03版が出たdraft-wallace-aipref-grant-bindingと、10月30日に第00版が出たdraft-kelley-aipref-training-preference-signalには、「New」の印が付いていた。draft-kelleyは、下の記事が扱うGoogleの発表がリンクしている草案である。この草案を詳しく読む記事は、Googleは、robots.txtでAI学習を断る共通の書き方(__usage_ai-training)に2027年の初めに対応する予定で、仕様はまだドラフト ── 担当サイトのrobots.txtでAI学習に触れる行を数えて確かめる13項目(2026年11月時点)にあるので、この記事では中身に踏み込まない。

読み違えやすいのは、「Related」に載っていることは、作業部会が採用したという意味ではないことだ。datatrackerの個人の草案のページには、種別の欄に「(individual)」と書かれ、作業部会の「Stream」(流れ)の状態は「(No stream defined)」となっていた。作業部会の草案として扱われている2本とは、欄の見え方が違う。

クローラーのIP範囲の書式は、期限切れと置き換えを経た

状態の変化がよく分かる例が、クローラーが使うIPアドレスの範囲をJSONで公開する書式の草案である。最初の名前はdraft-illyes-aipref-jafarで、第00版は2025年9月30日に出て、2026年4月3日に期限切れになった。4月9日に第01版が出て復活したが、4月21日に別の名前draft-illyes-webbotauth-jafarの第00版が出て、元の草案は「Replaced」(置き換えられた)になった。元の草案のページは、種別が「Replaced Internet-Draft」で、その下に「Expired & archived」(期限切れで保管)とも表示される。新しい名前の草案は、10月22日に第01版が出て、有効期限は2027年4月25日である。

個人の草案2本の日付を時間の順に並べた図。クローラーのIPアドレスの範囲を書く草案は、2025年9月30日に第00版、2026年4月3日に期限切れ、4月9日に第01版で復活、4月21日に別の名前の草案に置き換えられ、10月22日に新しい名前の第01版が出て、有効期限は2027年4月25日。クローラーの作法の草案は、2026年4月9日の第04版が最新で、10月11日に期限切れになり、置き換えはない
2本の個人の草案の日付。期限切れのまま残るものと、別の名前に引き継がれるものがある

同じ作者のdraft-illyes-aipref-cbcp(クローラーの作法を書いた草案)は、最新の第04版が2026年4月9日で、10月11日に期限切れになり、置き換え先は表示されていなかった。ページには「Expired & archived」と書かれ、「Last updated 2026-10-11 (Latest revision 2026-04-09)」と、最後に更新された日と最後の版の日が分けて示されている。

6本の草案を、同じ項目で並べる

草案の名前種別最新の版と日付状態(種別の欄/作業部会の状態/IESGの状態)有効期限
draft-ietf-aipref-vocab作業部会の草案第08版・2026年9月14日種別: 有効(Active)/作業部会: WG Document/IESG: I-D Exists2027年3月18日
draft-ietf-aipref-attach作業部会の草案第05版・2026年8月19日種別: 有効(Active)/作業部会: WG Document/IESG: I-D Exists2027年2月20日
draft-kelley-aipref-training-preference-signal個人の草案第00版・2026年10月30日種別: 有効(Active)/作業部会: 定義なし/IESG: I-D Exists2027年5月3日
draft-illyes-aipref-jafar個人の草案第01版・2026年4月9日種別: 置き換えられた(Replaced)/IESG: Replaced by2026年10月11日(データの値)
draft-illyes-webbotauth-jafar個人の草案第01版・2026年10月22日種別: 有効(Active)/作業部会: 定義なし/IESG: I-D Exists2027年4月25日
draft-illyes-aipref-cbcp個人の草案第04版・2026年4月9日種別: 期限切れ(Expired)/IESG: Expired2026年10月11日

日付は、datatrackerのデータ(UTC)と草案の本文に合わせた。有効期限は、6本とも版が出た日から185日後だった。

02 なぜ・背景 — 「草案」と「標準」が、同じ重さで届く

AIクローラーへの希望の伝え方は、会社ごとに別々の名札を使う状態が続いてきた。IETFのAIPREF作業部会は、それを共通の語彙にまとめようとしている。担当サイトの会議では、そのたびに「IETFが決める」「標準になる」といった言い方が出る。「決める」と書いてあっても、今日の時点で決まったという意味とは限らない。この記事では、その差を、ページの欄で見分ける方法を扱う。

草案は「作業中のもの」として引用する決まりがある

草案の本文の冒頭には、定型の注意書きが入っている。draft-ietf-aipref-vocabの第08版と、draft-kelleyの第00版の両方に、同じ文が書かれていた。

"Internet-Drafts are draft documents valid for a maximum of six months and may be updated, replaced, or obsoleted by other documents at any time. It is inappropriate to use Internet-Drafts as reference material or to cite them other than as "work in progress.""

(日本語訳: インターネットドラフトは、最長6か月有効な草稿の文書で、ほかの文書によって、いつでも更新され、置き換えられ、廃止されうる。インターネットドラフトを参考資料として使ったり、「作業中」としてでなく引用したりすることは、適切でない。)

この文には、草案を引くときの条件が2つ入っている。有効なのは最長6か月ということと、引くなら「作業中」として引くことである。担当サイトの資料で「IETFの標準」と書いてしまうと、この条件に反する。

草案ページには「承認されていない」とも書かれている

datatrackerの草案のページは、本文の上に、次の注意を表示する。draft-kelleyのページで確かめた。

"This I-D is not endorsed by the IETF and has no formal standing in the IETF standards process."

(日本語訳: このインターネットドラフトはIETFが承認したものではなく、IETFの標準化の過程で正式な地位を持たない。)

この文は、個人の草案のページで確かめた。作業部会の草案draft-ietf-aipref-vocabのページには、この文は表示されていなかった。その代わり、作業部会の草案は、本文の側に別の注意を持っていた。次の節で述べる。

作業部会の草案にも、「合意を反映しない」という注意がある

draft-ietf-aipref-vocabの第08版には、「Note to Readers」(読者への注)が付いている。

"As detailed below, this is a working document. Its contents DO NOT REFLECT CONSENSUS of the Working Group either in whole or part."

(日本語訳: 以下に詳しく書くとおり、これは作業用の文書である。その内容は、全体としても一部としても、作業部会の合意を反映していない。)

本文の第3節と第4節の冒頭にも、「この節はまだ合意を得ていない」という趣旨の注が付いている。作業部会の草案であることと、作業部会が内容に合意していることは別である。担当サイトの資料で語彙の中身を引くときは、この注の有無を先に見る。

会社や記事の説明は、時点が違うことがある

事業者のブログや報道は、書かれた日の状態を書いている。ある知らせは、語彙の草案が第08版でまだRFCではないと伝えていて、datatrackerを開くと、11月4日時点でも当てはまっていた。数週間後には、版が上がっているかもしれない。説明を信じるかどうかではなく、確認した日付を書き残すのが、この手順の目的である。

03 用語 — 出てくる言葉を、先にそろえる

インターネットドラフト(草案)

用語

インターネットドラフト(Internet-Draft、略してI-D)は、IETFで誰でも出せる作業中の文書で、最長6か月で期限が切れる。標準の文書ではない。この記事では、「草案」と書く。

RFC

RFCは、IETFが番号を付けて公開した文書である。robots.txtの仕様はRFC 9309で、datatrackerのデータでは「標準化の最初の段階(Proposed Standard)」の文書として登録され、2022年9月10日(UTC)にRFCとして公開された。RFCになると、草案の名前にあった「draft-」と版の番号はなくなり、「rfc9309」のような名前になる。

作業部会(WG)

作業部会は、IETFで1つの課題を扱うグループである。AIPREFは、datatrackerで「Web and Internet Transport」の分野の、活動中の作業部会として表示されている。作業部会が育てる草案は、名前の2つ目の部分が「ietf」になる。

個人の草案

個人の草案は、作業部会を通さず、1人または少人数が出す草案である。名前の2つ目の部分は、作者の名字になる(例: draft-kelley-…、draft-illyes-…)。ページの種別の欄には「(individual)」と書かれる。

IESG

IESGは、標準になる文書を審査する委員会である。datatrackerの「IESG state」の欄は、草案がどの審査の段階にいるかを示す。「I-D Exists」は、datatrackerの説明で、次のように書かれている。

"The IESG has not started processing this draft, or has stopped processing it without publication."

(日本語訳: IESGは、この草案の処理をまだ始めていないか、公開に至らないまま処理をやめた。)

版(リビジョン)

草案の名前の末尾の2桁の数字が版で、最初は00になる。draft-ietf-aipref-vocabは、第00版が2025年5月1日、第08版が2026年9月14日で、9つの版が、約16か月の間に出ている。版が1つ上がるたびに、有効期限は、その版が出た日から数え直される。

有効期限(Expires)

有効期限は、草案の本文の冒頭に「Expires: 18 March 2027」のように書かれる。新しい版が出ないまま期限が過ぎると、状態が「Expired」(期限切れ)になる。期限切れの草案も、datatrackerには残って読める。

置き換え(Replaces / Replaced by)

別の名前の草案が、元の草案を引き継ぐとき、新しい側の「Replaces」の欄に元の名前が書かれ、元の側の状態は「Replaced」になり、「Replaced by」の欄に新しい名前が書かれる。draft-ietf-aipref-vocabの「Replaces」の欄は、draft-keller-aipref-vocabだった。

採用の状態

用語

採用は、個人の草案を、作業部会が自分たちの文書として取り上げることである。datatrackerには、採用までの途中の状態として、「Candidate for WG Adoption」(採用の候補)と「Call For Adoption By WG Issued」(採用の呼びかけが出された)がある。採用が済むと、名前が「draft-ietf-」で始まる草案に置き換えられるのが通例で、datatrackerの状態の説明にも、「draft-ietf-wgname-topic-nn」という名前の付け方が出てくる。

04 型別 — 対象、確かめられないこと、確かめる手順

対象: どんな話で使える読み方か

この読み方は、IETFが扱う文書全般に使える。AIPREFの語彙、robots.txtの仕様(RFC 9309)、クローラーの名乗りを確かめる仕組みなど、会議で「IETFの草案」と言われる話題は、同じページの構造を持っている。当サイトの過去の記事にも、仕様がまだ草案の段階にある話を扱ったものがある。たとえばChromeのConnection-Allowlistは、ページが外へつなぐ先をヘッダーで決める仕組みで、仕様はまだ草案 ── つなぎ先の一覧を作り、報告専用のヘッダーで試す前に確認する13項目(2026年10月時点)である。

草案の段階を知る目的は、資料に書く言い方を、段階に合わせることにある。段階ごとの言い方は、03章の用語を使うと、次のようにまとめられる。

標準になるまでの段階を、個人の草案、採用の検討、作業部会の草案、最終確認、IESGの審査、RFCの6つに並べた図。2026年10月30日に出た個人の草案draft-kelleyは1番目、作業部会の草案draft-ietf-aipref-vocabの第08版は3番目、robots.txtの仕様RFC 9309は6番目に置かれている
段階の並べ方は筆者の整理。状態の名前はdatatrackerの表示に合わせた

確かめられないこと: 状態は進み具合であって、中身の良し悪しではない

datatrackerの欄が示すのは、草案の手続きの上の位置である。中身が正しいか、事業者が対応しているかは、この欄からは分からない。たとえば、作業部会の草案であっても、本文には「合意を反映しない」という注が付いていた。逆に、個人の草案が、事業者の発表で先に使われ始めることもありうる。事業者がいつ対応するかは、事業者の文書を別に確かめる必要がある。

確かめられないこと: 画面の日付が1日ずれて見える

draft-ietf-aipref-vocabの第08版は、文書一覧の日付が2026年9月13日、データの更新時刻が9月14日の06時18分(UTC)、草案の本文の日付が14 September 2026で、3つが違っていた。9月14日6時18分(UTC)は米国西海岸の時刻では13日の夜にあたるので、画面の時刻帯が違うために、日付が1日早く見える可能性がある。画面の設定は確かめていない。これは筆者の読みである。

確かめられないこと: 草案の本文と欄が、食い違うことがある

draft-kelleyの第00版は、本文の冒頭に「Intended status: Standards Track」(目指す地位は標準化過程)と書いていた。一方、datatrackerの同じページの「Intended RFC status」の欄は、「(None)」だった。本文が書く「目指す地位」は作者の意図で、欄は、IETFの手続きの上で登録された状態である。2つが食い違うときは、手続きの欄を、状態として扱う。

確かめる手順1: 名前を決めて、ページを開く

名前が分かっていれば、「https://datatracker.ietf.org/doc/」の後ろに名前を付けて開く。例は、https://datatracker.ietf.org/doc/draft-ietf-aipref-vocab/ である。名前が分からないときは、作業部会の文書一覧(https://datatracker.ietf.org/wg/aipref/documents/)から開く。名前は、説明の資料に書かれたものを、そのまま写す。版の番号(末尾の数字)は付けなくても、最新版のページに移る。

確かめる手順2: 種別の欄を読む

ページの「Document」の欄の「Type」には、「Active Internet-Draft」「Expired Internet-Draft」「Replaced Internet-Draft」のいずれかが書かれ、括弧の中に作業部会の名前か「individual」が入る。RFCになった文書は、状態の名前が「RFC」になる(datatrackerの状態の一覧で確かめた)。まず、この1行で、有効か、期限切れか、置き換えられたかが分かる。

欄語読み方
TypeActive有効な草案。有効期限の前の状態
TypeExpired期限が切れた。新しい版が出ないまま、有効期限を過ぎた
TypeReplaced別の名前の草案に置き換えられた。「Replaced by」の欄で後の名前をたどる
Stream stateWG Document作業部会の草案として育てられている
Stream stateCall For Adoption By WG Issued個人の草案について、作業部会が採用の呼びかけを出した
IESG stateI-D ExistsIESGは、まだ処理を始めていない
IESG stateExpired草案が期限切れになったことを示す

確かめる手順3: 4か所を書き写す

草案のページで状態を読む4か所を示した図。1番目は名前で、ietfの文字があれば作業部会の草案。2番目は種別の欄で、有効、期限切れ、置き換え、RFCのどれか。3番目は本文の冒頭の有効期限で、出た日から185日後。4番目は置き換えの欄で、前の名前と後の名前をたどる
草案のページで先に見る4か所。例は、2026年11月4日に確かめたdraft-ietf-aipref-vocabの第08版

名前、種別の欄、本文の冒頭の有効期限、置き換えの欄の4か所を、確認した日付と一緒に書き写す。日付が違って見えるときは、datatrackerの表示と草案の本文の両方を書く。書き写す作業が、資料の側に確認日を残すことになる。

確かめる手順4: 置き換えをたどる

「Replaced」と書かれていたら、「Replaced by」の名前を開く。draft-illyes-aipref-jafarを開くと、後の名前としてdraft-illyes-webbotauth-jafarが出る。後の側のページを開き、種別が「Active」かを確かめる。置き換えの先も期限切れだったら、さらにたどる。

確かめる手順5: 作業部会の一覧で、居場所を確かめる

作業部会の文書一覧では、「Active Internet-Drafts」の欄と「Related」の欄が別々に表示される。話題の草案がどちらの欄にあるかを、書く。「Related」の草案は、作業部会が採用した草案ではなく、関係する草案として一覧に出ているものである。

05 明日、担当サイトで確認できることチェックリスト

以下は、担当サイトの会議や資料に出てくる草案の状態を、datatrackerで読んで書き残す13項目である。1〜3番目は草案の名前の確認、4〜9番目はページの読み方、10〜11番目は作業部会の一覧の読み方、12〜13番目は資料への書き方と確認の続け方である。1項目は5分以内でできる。チェックの状態は、お使いのブラウザに保存され、サーバーには送られない。

  • 担当サイトの会議資料や見積書で「草案」「ドラフト」「RFC」と書かれた箇所を3つ選び、書かれている名前を書き写す
  • 書き写した名前が「draft-」で始まるか「rfc」で始まるかを分けて書く
  • 名前が分からない箇所は、資料の作成者に名前を聞いて、聞いた日付を書く
  • datatrackerで、名前のページ(https://datatracker.ietf.org/doc/の後ろに名前を付けたもの)を3つ開く
  • 各ページの「Type」の欄を読み、Active、Expired、Replaced、RFCのどれかを書く
  • 名前の2つ目の部分が「ietf」か人の名前かを見て、作業部会の草案か個人の草案かを書く
  • 各ページの末尾の版の番号と、「Last updated」の日付を書き写す
  • 草案の本文の冒頭にある「Expires」の日付を書き写し、今日から何日残っているかを数えて書く
  • 「Replaces」か「Replaced by」の欄があれば、そこに書かれた名前を開いて、種別の欄を書く
  • 作業部会の文書一覧(https://datatracker.ietf.org/wg/aipref/documents/)を開き、「Active Internet-Drafts」と「Related」の件数を別々に書く
  • 話題の草案が「Active Internet-Drafts」と「Related」のどちらにあるかを書く
  • 資料の中で草案を引いた箇所に、版、状態、確認した日付の3つを書き足す
  • 有効期限の日付から逆算して、次に確認する日を1つ決め、台帳の日付の欄に書く

チェックが終わったら、書き写した内容を表にして、確認した日付を添えて保存する。次に確認する日は、期限が近い草案から決める。

06 代替・他の選択肢 — 草案の状態を知る方法を、並べて比べる

草案の状態を知る方法は、datatrackerのページを読む以外にもある。それぞれの向き不向きを、次の表に整理した。比べ方は、筆者の整理である。

方法向いている場面注意
草案のページ1本の草案の状態、版、期限、置き換えを確かめる日付の表示が、データや本文と1日ずれることがある
作業部会の文書一覧作業部会が育てている草案と、関係する草案を区別する「Related」は採用の印ではない
datatrackerのデータ(JSON)多くの草案の状態を、決まった項目で比べる状態は番号で返るので、番号が何かを別に引く必要がある
RFC EditorのページRFCの番号が分かっている文書の本文と公開日を確かめる番号のない草案を探す用途には向かない(筆者の読み)
事業者のブログ、報道対応の予定や、事業者の見方を知る書かれた日の状態で、いまの状態とは限らない
社内の要約、会議の説明担当サイトの判断の経緯を知る版と確認日が書かれていないことが多い

datatrackerのデータは、状態を番号で返す

datatrackerは、草案の情報をJSONで返すデータの出口をAPIとして公開している。この記事の日付や状態の多くは、そこから読んだ。たとえば、状態は「/api/v1/doc/state/150/」のような番号で返り、その番号を別に引くと、「I-D Exists」という名前と説明が分かる。草案が多いときは、このデータを使うと比べやすい。

当サイトの過去の記事にも、状態を確かめる話がある

クローラーのIPアドレスの範囲を決まった形で公開する話は、草案の書式の話と地続きである。当サイトでは、GoogleクローラーのIPレンジJSONファイルが新しい場所へ ── 自社の設定で確認する13項目(2026年9月時点)で、GoogleのIP範囲のJSONの場所の変更を扱った。接続元で確かめる考え方は、Googlebotの名乗りは誰でも書ける。通す・止めるを名乗りだけで決めず、接続元で確かめる ── 自分のサイトの判定を点検する13項目(2026年10月時点)にある。

実務のヒント

草案の名前を、資料の「出典」の欄に書くときは、名前だけでなく、「第何版、何年何月何日に確認」まで書く。あとで読む人が、いつの状態かを、datatrackerを開く前に判断できる。

07 当サイトで確かめたこと — robots.txtにAIの名乗りの行は0本で、この記事の日付を残す

2026年11月4日の13時台に、当サイトの/robots.txtを外から取得して、行を数えた。取得は成功し、HTTPの状態は200だった。結果は次のとおりである。

  • ファイル全体の行は17行
  • User-agentの行は1行(すべてのクローラーに向けた1グループ)
  • AllowとDisallowの行は14行
  • GPTBot、ClaudeBot、Google-Extended、Applebot-Extendedの名前を含む行は0行
  • __usage_ai-trainingの文字を含む行は0行
  • aiprefまたはietfの文字を含む行は0行

当サイトは、検索・学習・エージェントのAIの取得を3つとも通す方針である(方針の理由は、ブログ記事「Cloudflareが9月15日に加えた「AI学習だけを止める」設定 ── 検索に載せたまま止められる範囲と、今週確かめる6つ」の追記にある)。この記事を書くために、robots.txtは変えていない。草案の状態を読んだことで、当サイトの設定を変える理由は、まだ生まれていない。

draft-kelleyの第00版は、robots.txtの書き方に関する草案である。当サイトの対応は、この草案が標準の文書になるか、Googleなどの事業者が実際に読み始めたかを、datatrackerと事業者の文書で確かめてから決める。決めたら、この記事に日付つきで追記する。

08 このテーマは、ここまで — AIの取得と、仕様の状態を、どう確かめてきたか

これまでの記事

今回の記事の位置

これまでの記事は、AIの取得に「通す・止める」を伝える方法と、実際に来ている相手の確かめ方を書いてきた。今回は、その伝え方を決めようとしている仕様の側の、状態の読み方を扱った。当サイトのrobots.txtの状態は変わっていない。

次に草案の続報が出たときは、datatrackerの種別の欄と、「Last updated」の日付を先に見る。日付が動いていなければ、確認した日付だけを書き足す。版が上がっていたり、種別が「Replaced」に変わっていたりしたら、05章の4〜9番目をやり直す。

AI利用の好みを決めるIETFの草案は、作業部会の草案が第08版、個人の草案が第00版で、どちらもまだ標準ではない。名前・種別・有効期限・置き換えの4か所で状態を読み、担当サイトの資料に確認日を残す13項目を、1項目5分以内の手順でまとめる。
2025/05/31
THU
00:00:00

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Webアドバイジング・クリエイター
池田 南美夫
もうすぐ●●歳。ずっーと現役SE。日本にインターネットが上陸してから、ずっーと携わる。 ほんとは超アナログ人間のギター弾き、バンドマン。でも音楽活動とSE、案外似てる。