Cloudflareは非公開IPの配信元を中継する構成を一般提供にした。使うにはCloudflare Oneの接続などの条件がある ── 多くのサイトに効く「配信元に直接つながる道」が残っていないかを確かめる13項目(2026年11月時点)
Cloudflareは非公開IPの配信元を中継する構成を一般提供にした。使うにはCloudflare Oneの接続などの条件がある ── 多くのサイトに効く「配信元に直接つながる道」が残っていないかを確かめる13項目(2026年11月時点)
目次
- 01 何が書いてあるか — 非公開IPの配信元を、公開せずにCloudflareの守りの後ろに置けるようになった
- 02 なぜ・背景 — 配信元に直接つながると、前に置いた守りは素通りされる
- 03 用語 — 出てくる言葉を、先にそろえる
- 04 型別 — 対象の条件、告知が書いていないこと、確かめる手順
- 05 明日、担当サイトで確認できることチェックリスト
- 06 代替・他の選択肢 — 配信元を守る方法は、新機能のほかにもある
- 07 当サイトで確かめたこと — 当サイトはCloudflareを使っていない
- 08 このテーマは、ここまで — Cloudflareの告知と、配信元の守りを追った記事の流れ
- 09 この記事のまとめ
01 何が書いてあるか — 非公開IPの配信元を、公開せずにCloudflareの守りの後ろに置けるようになった
引用について
この記事は、Cloudflareの公式ブログの告知「Services for private origins」(2026年10月30日公開)と、Cloudflareの公式文書「Protect your origin server」(配信元を守る方法の一覧のページ。ページに書かれた最終更新は2026年10月2日)を、2026年11月2日に取り込んで読んだ内容を書いている。英文は一字ずつ引き写さず、記事の筆者が日本語に直した要旨で書く。出典に書かれていない筆者の読みと案は、「筆者の読み」「筆者の案」と書いて分ける。なお、告知の中で「ほかの制限は開発者向け文書に書いてある」と案内されている文書は、この記事では開いていない。
Cloudflareは2026年10月30日、公開アドレス宛ての通信を、非公開IPアドレスの配信元へ中継する機能「Services for private origins」を一般提供にしたと公式ブログで告知した。配信元(オリジン)とは、ページやAPIの中身を実際に持っているサーバーのことである。告知によると、2026年6月に限定の試験(クローズドベータ)が始まり、今回、試験に参加していない利用者にも広がった。
仕組みの要旨は次のとおりである。利用者は、Cloudflareのプロキシを通すDNSのレコード(AレコードまたはAAAAレコード)を、非公開のIPアドレスに向ける。すると、Cloudflareは、利用者がすでに持っているCloudflare Oneの接続を通して、その配信元に届く。配信元のサーバーは、インターネットから直接見えるアドレスを持たなくてよい。告知は、使い道の例として、社内のAPI、AIエージェントの裏側のサーバー、MCPサーバー、社内向けのツールを挙げている。
非公開にしても、Cloudflare側の守りの機能はそのまま効く、と告知は書く。挙げられている機能は、WAFとマネージドルール、bot管理、レート制限、キャッシュ、変換やリライトのルール、Workersである。公開の配信元と同じように動く、という書き方である。
ただ、この記事の読者の多くは、この機能を今すぐ使う立場ではないと筆者は考える(筆者の読み)。使うには、後で述べるとおり、Cloudflare Oneの接続(5種類のどれか)が要る。それでも、この告知は、多くのサイトに関係する問いを1つ置いていく。「自分の担当サイトの配信元に、CDNを通さずに直接つながる道は、残っていないか」という問いである。この記事は、前半で「この新機能が自分に当てはまるか」を先に判定し、後半で、当てはまらない場合にも役に立つこの問いの確かめ方を13項目にまとめる。
先に結論 — 当てはまるかの判定は3問で終わる
次の3つの問いに、順に答える。1つでも「いいえ」なら、この新機能は、いまの契約と構成では使えない。
- Cloudflareを、担当サイトの前に置いているか(DNSをCloudflareのプロキシ経由にしているか)。
- Cloudflare Oneの接続(IPsec、GRE、CNI、Tunnel、Meshの5種類のどれか)を、配信元のある場所とつないでいるか。
- 配信元は、非公開のIPアドレスのネットワークの中(クラウドの非公開ネットワーク、社内など)に置いているか、置く予定があるか。
02 なぜ・背景 — 配信元に直接つながると、前に置いた守りは素通りされる
CDNやWAFは、通った通信にしか効かない
CDN(コンテンツ配信ネットワーク)やWAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)は、訪問者とサーバーの間に立って、通信を見て、必要なら止める仕組みである。逆に言えば、その仕組みを通らない通信には、何も効かない。配信元のIPアドレスを知っている相手が、CDNを通さずにそのアドレスへ直接つなげば、WAFのルールも、bot管理も、レート制限も、キャッシュも使われない。
当サイトは以前、同じ考え方で、WAFの保護とPHPの更新の関係を整理した。PHPの脆弱性にWAFの保護が入っても、PHPの更新は要る。Cloudflareは「追加の層」と書いた ── CDNを通らない経路・ルールの対象外・WAFを切ったときを確かめる13項目(2026年10月時点)という記事で、CDNを通らない経路が1つの確認項目になっている。今回の機能は、その経路を、構成の側から無くす手段の1つと読める(筆者の読み)。
配信元のアドレスは、思わぬ所から分かる
Cloudflareの公式文書「Protect your origin server」は、配信元のIPアドレスが分かってしまう道として、次のような点を挙げている。
- プロキシを通さない(DNSだけの)レコードに、配信元のアドレスが書かれている。メール用のSPFやTXTのレコードの中にアドレスが入っていることがある。
- 保護するWebサイトと同じサーバーで、メールの送信も動かしている。存在しない宛先のメールが返ってきたときの情報から、メールサーバーのアドレスが分かるおそれがある。
- Cloudflareを入れる前のDNSの記録は公開の情報で、履歴に古いアドレスが残る。そのため、導入後に配信元のアドレスを変えることを勧めている。
この3つは、専門の機材がなくても確かめられる。後半のチェックリストでは、1つ目(プロキシなしのレコードとSPF・TXTの中のアドレス)が4番目と5番目、2つ目(メールの送信)が9番目の項目になっている。3つ目の導入前のDNSの履歴は、公開された情報として残るため、チェックリストには項目を設けず、第06章の「配信元のアドレスを変える」で扱う。6〜8番目は、見つかった道が実際に開いているか、配信元側の対策は何かを確かめる別の項目である。
直接つなげる道は、3つの形で残る
CDNを通らずに配信元へつながる道は、大きく3つの形で残りうる、と筆者は整理している(筆者の整理)。1つ目は、配信元のアドレスが漏れていて、そこへ直接つなげる形。2つ目は、アドレスは知られていなくても、配信元側が誰からの通信でも受け付けている形。3つ目は、CDNを通る通信の中に、別の利用者のCDN経由の通信が混ざる形である。3つ目は、Cloudflareのアドレスは多くの利用者で共有されるため、アドレスの許可だけでは区別できないことがある、という筆者の読みである。公式文書がこの点をはっきり書いているかは、確かめていない。この点が、後の章で述べるクライアント証明書や秘密のヘッダーなどが並ぶ理由の1つだと筆者は読む。
「隠す」と「閉じる」は別の作業になる
アドレスが知られないようにする(隠す)ことと、知られても直接つなげないようにする(閉じる)ことは、別の作業である。隠すだけだと、何かの拍子にアドレスが分かった時点で、守りが無くなる。公式文書が、配信元側での対策を何段にも分けて並べているのは、隠すだけでは足りないからだと筆者は読んでいる(筆者の読み)。今回の新機能は、「閉じる」の最も強い形、つまり配信元がそもそも公開のアドレスを持たない形に近い。
実務のヒント
「配信元のアドレスは誰も知らないはず」という前提は、確かめるまでは前提のままである。DNSの管理画面、メールの設定、導入前のDNSの履歴の3か所は、数分で見られる。見たことのない担当者は、先に見てしまうほうが早い。
03 用語 — 出てくる言葉を、先にそろえる
用語
配信元(オリジン)は、ページやAPIの中身を実際に持っているサーバーである。CDNは、その手前に立って、中身の写しを持ったり、通信を見張ったりする。配信元とCDNの関係は、倉庫と店頭のようなものである。
用語
非公開IPアドレスは、インターネットからは直接つなげない範囲のアドレスである。告知は、一般にこの用途に決められた範囲(RFC 1918のIPv4、RFC 6598の範囲、RFC 4193のIPv6)では、非公開のルーティングが自動で有効になり、止められない、と説明している。
用語
Cloudflare Oneは、Cloudflareが提供する、企業のネットワークとセキュリティをまとめた製品群の名前である。今回の機能は、このうち「接続」の部分を使う。告知が挙げる接続の方式は、IPsec、GRE、CNI、Cloudflare Tunnel、Cloudflare Meshの5つである。
用語
Unified Routingは、Cloudflareの中で、通信の道筋を1つの方式でまとめて扱う設定である。告知は、この設定が有効であることを要件の1つに挙げ、ただしTunnelで接続する場合は不要、と書く。この設定の中身の詳しい説明は、この記事では確かめていない。
戻りの経路
通信は、Cloudflareから配信元へ向かう道(行き)と、配信元からCloudflareへ戻る道(帰り)の2方向でできている。告知が戻りのルートの設定を求めているのは、Cloudflare WANまたはCloudflare Meshで接続する場合である。告知は、帰りの道、つまりCloudflareの送信元の範囲への戻りの経路が設定されていないと、要求が時間切れになり、配信元には何も届かない、という症状になると書く。ベータで最も多かった設定の失敗だったという。Tunnelなど、ほかの方式で接続する場合に同じ設定が要るかは、告知の要件の文には書かれていない。後の章で詳しく述べる。
プロキシ付きのDNSレコード
DNSの管理画面で、レコードの横に「オレンジの雲」の印が付いているものを、プロキシ付きと呼ぶ。この印があると、訪問者のつなぎ先はCloudflareになり、配信元のアドレスは見えなくなる。印が無い(灰色の雲の)レコードは、書かれたアドレスがそのまま公開される。公式文書は、可能なら印を付けるよう勧めている。
04 型別 — 対象の条件、告知が書いていないこと、確かめる手順
🅰 適用範囲 — 告知が書く要件と、対象外のもの
告知が書く要件を、表にした。
| 区分 | 告知が書いていること | 読み方(筆者の読み) |
|---|---|---|
| 権限 | アカウントにPrivate Originsの権限が要る。有効にするにはアカウントの担当者に頼む | 画面のスイッチではなく、担当者への依頼から始まる |
| 接続 | Cloudflare Oneの接続が要る(IPsec、GRE、CNI、Tunnel、Meshのどれか) | 接続の準備が、機能の前に要る |
| 経路の設定 | Unified Routingが有効であること。Tunnelで接続する場合は不要 | 接続方式で準備が変わる |
| 戻りの経路 | WANまたはMeshで接続する場合は、Cloudflareの送信元の範囲への戻りのルートを設定する | 範囲の具体的な値は、告知を開いて自分で写す |
| 対象外 | Argo Smart RoutingとDedicated CDN Egress IPsは対象外。配信元の死活確認にはLoad Balancingが要る | これらを使っている構成は、移す前に確かめる |
告知の説明文は、Cloudflare One接続を持つ顧客すべてを対象に挙げる一方、本文は、権限をアカウントの担当者に有効にしてもらう必要があると書く。プランの名前や料金の区分は、告知に書かれていない。契約によって使えるかどうかは、この記事では分からない。
🅱 この告知が書いていないこと
- 料金がいくらかは書かれていない。
- 配信元に直接つなげる道を、どう見つけるかは書かれていない。この告知は、新しい機能の紹介であって、点検の手引きではない。
- この構成にしたあと、配信元の応答が遅くなるか、速くなるかの数字は書かれていない。
- 告知の末尾は、次の取り組みとして、非公開のネットワーク同士の通信を挙げ、その限定の試験を2027年の初めごろに目指すと書く。今回の機能の対象は、公開インターネットから非公開の配信元へ向かう通信である。
🅲 手順1 — 3問で、自分に当てはまるかを判定する
最初の作業は、第01章の3つの問いに答えることである。答える相手は、Cloudflareの契約を管理している人と、配信元を管理している人の2人であることが多い。1通のメッセージで、次の3つを聞くと返事が早い。
- 担当サイトのDNSは、Cloudflareのプロキシ(オレンジの雲)を通っているか。
- Cloudflare Oneの接続が、IPsec、GRE、CNI、Tunnel、Meshのどの方式であるか。
- 配信元は、非公開のアドレスのネットワークの中にあるか。
3つとも「はい」なら、第06章の表と、アカウントの担当者への問い合わせへ進む。1つでも「いいえ」なら、この新機能の導入は今は考えず、次の手順2以降の点検へ進む。
🅲 手順2 — プロキシなしのレコードを、上から全部開く
DNSの管理画面を開き、灰色の雲のレコードを上から順に見る。見るのは、書かれているアドレスが、配信元のサーバーのアドレスと同じに見えないかである。メール用のSPFやTXTのレコードの中身にも、アドレスが書かれていることがある。見つかったら、そのアドレスが配信元のものかを、運用者に聞く。
注意
この確認は、自分が管理するサイトだけで行う。他社のサイトの配信元を探す行為は、点検ではない。自分の管理するDNSの画面の中を見る作業に限る。
🅲 手順3 — 配信元のアドレスに直接つないで、何が返るかを書き留める
配信元のアドレスが分かっているなら、自分が管理するサイトに限って、そのアドレスをブラウザに直接入れて開く。見るのは3つの結果のどれかである。サイトの中身がそのまま出る、拒否や接続できない表示が出る、別のページ(初期のページなど)が出る。サイトの中身が出るなら、CDNを通らずに配信元へつながる道が開いていることになる。証明書の警告が出るのは、アドレスで直接つなぐと名前が合わないためで、ここでは想定内である。
結果は、日付と一緒に台帳に書く。「閉じている」と書く前に、一度は実際に開いてみる。設定の画面で閉じているように見えることと、実際につながらないことは別の話である。
🅲 手順4 — 配信元側で「どこからの通信を受けるか」を読む
配信元のファイアウォールや、サーバーの前に置いたネットワークの許可の設定を開き、許可している送信元を読む。公式文書が挙げる、配信元側での対策は、次の5つである。
- Cloudflareの範囲のアドレスだけを許可する。
- Cloudflareが付ける秘密のHTTPヘッダーを持つ通信だけを通す。
- クライアント証明書で、通信がCloudflareから来たことを確かめる(Authenticated Origin Pulls)。
- Cloudflare Tunnelで、配信元から外向きにだけつなぐ。
- 専用の送信元アドレスを使い、それだけを許可する。
どれを使っているかを、運用者に聞いて、台帳に1行書く。何も使っていなければ、それが今回の点検の最大の発見になる。
🅲 手順5 — 戻りの経路は、移す前に担当者を決める
WANまたはMeshで接続して新機能を使う場合、告知が特に強調している失敗は、戻りの経路である。告知は、ベータの期間に最も多かった設定の失敗として、Cloudflareの送信元の範囲への戻りのルートが無いことを挙げ、そのとき、要求が時間切れになり、配信元には何も届かないという症状になる、と書く。配信元のログに何も残らないので、「届いていない」ことは分かっても、原因は配信元のログからは分からない。戻りのルートを設定する担当者の名前を、移す前に決めておく。
05 明日、担当サイトで確認できることチェックリスト
以下は、配信元に直接つながる道が残っていないかを確かめ、新機能が当てはまりそうな場合は準備を始める13項目である。1〜3番目は接続と構成の把握、4〜9番目は配信元の隠れ方と閉じ方の確認、10番目は故障の通知、11〜12番目は新機能の準備、13番目は記録である。1項目は5分以内でできる。チェックの状態は、お使いのブラウザに保存され、サーバーには送られない。
- Cloudflareの管理画面か請求書を開き、Cloudflare Oneの接続(IPsec、GRE、CNI、Tunnel、Meshのどれか)があるかを「ある・ない・分からない」の3択で台帳に書く
- 担当サイトの一覧を上から見て、配信元が非公開のネットワークか社内にあるサイトの数を数え、台帳に件数を書く
- 担当サイトのうち、DNSをCloudflareのプロキシ(オレンジの雲)経由にしているサイトを、一覧に印を付けて数える
- DNSの管理画面で、プロキシなしの灰色の雲のレコードを上から全部開き、配信元のアドレスに見えるものがないかを見る
- メール用のSPFとTXTのレコードを開き、書かれたアドレスが配信元のものと同じでないかを見る
- 自分が管理するサイトだけで、配信元のアドレスをブラウザに直接入れて開き、中身が出たか、拒否されたか、別のページが出たかを書き留める
- 配信元のファイアウォールの許可の一覧を開き、Cloudflareの範囲以外から許可している行の数を数える
- 配信元側の対策が、アドレスの許可、秘密のヘッダー、クライアント証明書、Tunnelのどれかを運用者に1通で聞き、答えを台帳の1列に書く
- 保護するサイトと同じサーバーからメールを送っていないかを、運用者に聞いて、「送っている・送っていない」を書く
- 配信元の故障(5xxの増加、到達できない)の通知が登録されているかを、通知の設定画面で数える
- 3問すべてに「はい」の場合だけ、アカウントの担当者に、Private Originsの権限と接続方式を聞く下書きを1通保存する
- WANまたはMeshで接続して新機能に移す場合は、戻りのルートを設定する担当者の名前を、台帳の1行に書く
- 点検した日付と、次に見直す日(3か月後)を、台帳の見出しに書く
06 代替・他の選択肢 — 配信元を守る方法は、新機能のほかにもある
公式文書が並べる方法を、層ごとに読む
新機能が使えない構成でも、配信元を守る方法はある。Cloudflareの公式文書は、配信元への接続を守る方法を、DNSの項目のあと、アプリケーション層、トランスポート層、ネットワーク層の3つの見出しに分けて並べ、各方法の強さと使える顧客の範囲を書いている。その要旨を表にした。強さの評価は、文書の書き方に沿った(筆者がページの文言をそのまま写したものではない)。
| 方法 | 公式文書の評価 | 注意点(公式文書の要旨) |
|---|---|---|
| Cloudflare Tunnel | 非常に高い・全顧客が使える | 配信元にcloudflaredという常駐のソフトを入れる必要がある |
| Authenticated Origin Pulls | 非常に高い・全顧客が使える | 暗号化の方式がFullかFull (strict)であること。証明書の準備が要り、配信元が多いと手間が増える |
| 秘密のHTTPヘッダー | 中程度・全顧客が使える | アプリとサーバーの両方に設定が要る。Hostの書き換えをする機能と組み合わせると正当な通信も弾くことがある |
| CloudflareのIPアドレスの許可 | 中程度・全顧客が使える | 文書はIPスプーフィング(送信元アドレスの偽装)に弱いと書く |
| 専用の送信元アドレス | 非常に高い・Enterprise限定 | ネットワーク層のファイアウォールの設定が要る |
| Magic Transit、Network Interconnect | 非常に高い・Enterprise限定 | ネットワークの知識が要る。使える場面が限られる |
この表で、筆者が最も大事だと読むのは、アドレスの許可だけでは、評価が中程度で、偽装に弱いと書かれている点である。「Cloudflareの範囲だけ許可しているから大丈夫」という説明は、1つの層にすぎない。ほかの層(秘密のヘッダーやクライアント証明書)と組み合わせるかを、運用者に確かめる。
今回の新機能は、この表のどこに入るか
今回の新機能は、上の表にはない。配信元が公開のアドレスを持たないので、「直接つなぐ」ための入口そのものが無い構成になる。筆者の読みでは、Tunnelと近い位置にあるが、告知はTunnelとの違いや優劣を書いていない。どちらが自分の構成に向くかは、告知だけでは決められず、契約とネットワークの事情で変わる。
配信元のアドレスを変える
公式文書は、Cloudflareに導入したあと、配信元のIPアドレスを変えることを勧めている。DNSの記録は公開の情報で、導入前の履歴に古いアドレスが残るためである。アドレスを変えるのは、サーバーの引っ越しに近い作業になることがあるので、他の方法と組み合わせて、計画的に行う。
新機能も、アドレスの変更も、どちらもすぐには決められない場合は、先に「直接つないだら何が返るか」だけを確かめて、台帳に書く。結果が「拒否される」なら、緊急度は下がる。「中身が出る」なら、どの方法でも、閉じる計画を立てる理由になる。
通信の量を減らす側の工夫
公式文書は、配信元への通信そのものを減らす工夫も書いている。キャッシュで配信元への要求を減らす、複数のDNSレコードで分散する、急な増加にはWaiting Roomで受け入れを調整する、といったものである。守りではなく、負荷の面の対策だが、配信元が弱い構成では、この面も一緒に見ておく。
07 当サイトで確かめたこと — 当サイトはCloudflareを使っていない
当サイトは、Cloudflareを使っていない。そのため、この記事で取り上げた新機能は、当サイトには当てはまらない。第01章の3問のうち、1つ目で「いいえ」になる。当サイトの画面で、この機能の設定を見たり、試したりはしていない。
注意
この記事に書いた新機能の仕組みと条件は、すべてCloudflareの告知と公式文書に書かれていることの要旨である。当サイトで動かして確かめた内容ではない。
一方で、配信元の側の点検という考え方は、当サイトでも同じ形で取り組んでいる。公開の場所に残ったファイルを外から確かめる作業を、当サイトのブログにまとめた。控えファイルを外から確かめた日 ── 当サイトで読めたのは25本。「403でも置かない」理由と、次から積もらない手順は、外から見えるものを自分で数えた記録である。配信元に直接つながる道を探す点検と、同じ向きの作業である。
当サイトで同じ点検をするなら
当サイトがCloudflareを使い始めた場合は、この記事のチェックリストの4〜10番目を、そのまま当サイトに当てる。使っていない間は、配信元の側の点検として、外から見えるものを数える作業を続ける。
08 このテーマは、ここまで — Cloudflareの告知と、配信元の守りを追った記事の流れ
これまでの記事
当サイトでは、2026年10月に入って、Cloudflareの告知と、配信元や守りの層の話を何度か取り上げた。時系列で並べる。
- 通信の半分以上は人間ではないという話は、Cloudflareが通信の半分以上は人間ではないと書いた週、当サイトのログで自動と分かるものは36.2%だった ── 他人の大きな数字を、自社のログ1週間分で数え直すで書いた。
- AI学習だけを止める設定は、Cloudflareが9月15日に加えた「AI学習だけを止める」設定 ── 検索に載せたまま止められる範囲と、今週確かめる6つで書いた。
- WAFと配信元の関係は、PHPの脆弱性にWAFの保護が入っても、PHPの更新は要る。Cloudflareは「追加の層」と書いた ── CDNを通らない経路・ルールの対象外・WAFを切ったときを確かめる13項目(2026年10月時点)で書いた。
- WAFの検知と応答の新しいルールは、CloudflareのWAFは、リクエストと応答を対にして見る検知と応答のルールを全プランに入れた ── 自社の画面とルールを確かめる13項目(2026年10月時点)で書いた。
- WAFの守りが届かない所の確かめ方は、CloudflareはWAFを突破できるか試す公開の催しを始め、同じ記事に「更新の代わりにならない」と書いた ── 事業者が自分で試す理由から、自社のWAFの守りが届かない所を確かめる13項目(2026年10月時点)で書いた。
- 配信元が範囲指定の要求に答えられるかは、CloudflareのOrigin Range Requestsは全プランで使えるが、配信元が範囲指定に答えられることが前提になる ── 大きなファイルの配り方を確かめる13項目(2026年10月時点)で書いた。
今回の記事の位置
これまでの記事は、CDNやWAFの手前の機能を確かめる話が中心だった。今回は、配信元を、そもそも手前の機能を通る形に限る話である。新機能は、その最も強い形の1つだが、使えるのは接続などの条件を満たす場合に限る。使えない場合でも、配信元に直接つながる道を無くす点検は、どの担当サイトにも当てはまる。
点検の結果を、一覧で管理するための形は、PHPの修正版が出た日に「どのサイトが当たるか」を数分で答えるには、担当サイトの一覧が要る ── 台帳の8列を埋めて確かめる13項目(2026年10月時点)にある。この一覧に、「配信元に直接つないだ結果」と「配信元側の対策の方式」の2列を足すと、今回の点検が一覧の中で管理できる。外から見える設定の状態をまとめて確かめるときは、🔧 WEBサイト総合分析・レポートツール — 公開ページの状態をまとめて確認するが入口になる。配信元そのものの設定は、このツールでは分からない。
現在の貴方のIPアドレス
このサイトで書いている人
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