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PHPの修正版が出た日に「どのサイトが当たるか」を数分で答えるには、担当サイトの一覧が要る ── 台帳の8列を埋めて確かめる13項目(2026年10月時点)

目次
  1. 01 何が書いてあるか — 公式の対応の最初の項目は、「PHPが動いている場所を探す」ことだった
    1. NCSCの対応の1番目は、一覧を作ること
    2. PHP公式は、危険なインストールを広く書いた
    3. 期限は、公式のページの規則で決まる
    4. 既存の記事との分担
  2. 02 なぜ・背景 — 知らせが来た日に、一覧が無いと詰まる3つの場所
    1. 詰まる場所1: どのサイトが当たるか分からない
    2. 詰まる場所2: 誰に聞けばよいか分からない
    3. 詰まる場所3: 同じサーバーの別のサイトが見えない
    4. 「古い版だけ探す」では足りない
    5. PHPの入手元が一覧の列になる理由
    6. PHPを同梱する製品もある
  3. 03 この記事に出てくる用語
    1. 台帳(担当サイトの一覧)
    2. 系統と版
    3. セキュリティサポートと終了日(EOL)
    4. PHP-FPMとmod_php
    5. 同居
  4. 04 型別 — 8つの列を埋めて、数分で答えられる一覧にする
    1. 🅰 この作業が当てはまる人
    2. 🅱 この作業が測っていないこと
    3. 🅲 手順: 列を決め、サイトを書き出し、埋める
    4. ブログPHPの重大な脆弱性「php2shell」を、初心者から上級者まで1本で ── 自分のサイトは関係あるか、更新の順番、更新の後に確かめること、攻撃を受けたかの調べ方、当サイトとチームの記録の5つの列との対応
    5. PHPの動かし方は、2番目の列に書く
    6. 手順1: 担当サイトを全部書き出す
    7. 手順2: Webを動かしているPHPの版を、版の番号で書き写す
    8. 手順3: 期限を、公式のページから書き写す
    9. 手順4: 更新する人と、連絡先を書く
    10. 手順5: 同居するサイトと、PHPの入手元を書く
    11. 手順6: 台帳の見本
    12. 手順7: 更新の頻度を決める
    13. 手順8: 台帳を書き出して、保存場所を決める
  5. 05 明日、自社のサイトで確認できることチェックリスト
  6. 06 代替・他の選択肢 — 台帳を作る方法は、1つではない
    1. 4つの方法と、それぞれが向くサイト
    2. 手書きから始めて、行が増えてから道具を考える
  7. 07 当サイトで確かめたこと — この記事の根拠にした10ページと、確かめていないこと
    1. 2026年10月23日に取り直して照らした10ページ
    2. 確かめていないこと
    3. 当サイトのサーバーの対応
    4. 「一覧を作る」を、仕組みにする
  8. 08 このテーマは、ここまで
    1. 2026年10月21日 — PHP公式とNCSCの告知
    2. 2026年12月31日 — 8.2系のセキュリティサポートの終わる日
    3. 2026年10月23日 — この記事の確認日
  9. 09 この記事のまとめ

01 何が書いてあるか — 公式の対応の最初の項目は、「PHPが動いている場所を探す」ことだった

引用について

この記事の「" "」で囲んだ英語の文は、PHP公式サイトと、英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)の告知からの引用で、日本語訳は記事の筆者が付けたものである。原文は各出典のページで確かめられる。各ページは2026年10月23日に開いて、本文を取り直して確かめた。

NCSCの対応の1番目は、一覧を作ること

2026年10月21日に、PHPの重大な脆弱性2件(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)の修正版が出た。版の表、暫定策、更新の後の確認は、ブログPHPの重大な脆弱性「php2shell」を、初心者から上級者まで1本で ── 自分のサイトは関係あるか、更新の順番、更新の後に確かめること、攻撃を受けたかの調べ方、当サイトとチームの記録に書いたので、ここでは繰り返さない。この記事は、その中の1つの作業、担当しているサイトのPHPを一覧にして、保つことに絞る。

英国のNCSCは、この件の告知で、組織がまずすることを挙げた。その最初の項目が、一覧作りである。

"Identify systems running PHP across your infrastructure, prioritising internet-facing systems. As all versions may be affected, do not limit discovery to outdated PHP versions; identify PHP installations generally and assess their exposure to CVE-2026-109618 and CVE-2026-109619."

(訳: 基盤全体で、PHPを動かしているシステムを洗い出す。インターネットに公開しているシステムを優先する。すべての版が影響を受けうるので、古い版だけに絞って探さず、PHPのインストール全般を洗い出して、2件の脆弱性にどれだけさらされているかを評価する。)

更新する順番や暫定策は、洗い出しのあとの話である。どのシステムでPHPが動いているかを知らなければ、更新も確認も始められない。

PHP公式は、危険なインストールを広く書いた

PHP公式サイトの2026年10月21日の告知は、危険にさらされるものを、次のように書く。

"Who is at risk: all PHP installations serving web requests, including PHP-FPM, Apache with mod_php, php-cgi, FrankenPHP and LiteSpeed."

(訳: 危険にさらされるのは誰か。Webの要求を処理しているすべてのPHPのインストールで、PHP-FPM、mod_php付きのApache、php-cgi、FrankenPHP、LiteSpeedを含む。)

PHPをWebで動かす方式が、これだけある。担当サイトが複数あれば、サイトごとに方式も、版も違いうる。

期限は、公式のページの規則で決まる

サイトごとに、いつまで修正が出るかを書くには、PHP公式の「サポートされている版」のページを見る。ページは、期限の規則を、次のように書く。

"After this two year period of active support, each branch is then supported for two additional years for critical security issues only."

(訳: この2年間の積極的なサポートの期間が終わると、各系統は、さらに2年間、重大なセキュリティの問題に限ってサポートされる。)

同じページの表では、2026年10月23日の時点で、8.2系のセキュリティサポートが2026年12月31日、8.3系が2027年12月31日、8.4系が2028年12月31日、8.5系が2029年12月31日までである。サポートの終わった系統の一覧のページには、8.1が2025年12月31日、8.0が2023年11月26日、7.4が2022年11月28日と載っている。

既存の記事との分担

PHPの版の確認には、すでに解説記事がある。8.2系の期限と移行先はPHP 8.2のセキュリティサポートは2026年12月31日で終わる ── 自社と担当サイトのPHPの版を確かめ、年内の移行先と試験日を決める13項目(2026年10月時点)、WordPress本体の版・自動更新・バックアップを一覧にする方法はWordPressは5日の間に、セキュリティ更新が2回出た ── 担当サイトの版・自動更新・バックアップを一覧で確かめる13項目(2026年10月時点)で扱った。この記事は、その2本を束ねる側で、PHPに絞った一覧の列と、知らせが来た日に数分で答えるための保ち方を書く。

02 なぜ・背景 — 知らせが来た日に、一覧が無いと詰まる3つの場所

詰まる場所1: どのサイトが当たるか分からない

重大な脆弱性の知らせは、サイトの運営者より先に、事業者や公式から出る。受け取った人が最初に聞かれるのは、「うちのどのサイトが関係するのか」である。一覧が無いと、契約書や管理画面を1つずつ開く作業から始まり、答えが出るまでに、半日ほどかかることがある(目安で、実測ではない)。

詰まる場所2: 誰に聞けばよいか分からない

PHPを更新するのは、サイトの種類によって、事業者、制作会社、運営者本人のいずれかである。WordPress.orgの「PHPを更新しよう」の文書は、こう書く。

"Your hosting company determines which versions of PHP are available for your site, and many hosters let you change this yourself."

(訳: あなたのホスティング会社が、サイトで使えるPHPの版を決める。そして、多くのホスティング会社では、これを自分で変えられる。)

契約によって、版を決める人が違う。知らせが来た日に連絡先を探すと、窓口が見つからない。連絡先は、平穏な日に一覧へ書いておく。

脆弱性の知らせが来た日の流れを、台帳が無い場合とある場合で並べた図。台帳が無い場合は、契約書と管理画面を1つずつ開き、連絡先を探し、半日かけてようやくどのサイトが当たるかが分かる。台帳がある場合は、台帳を開いて系統で絞り、更新する人に連絡するまでが数分である
知らせが来た日の流れ。台帳の有無で、「どのサイトが当たるか」に答えられるまでの時間が変わる(筆者の整理)

詰まる場所3: 同じサーバーの別のサイトが見えない

1つのサーバーの上に、複数のサイトが同居していることがある。1つのPHPを更新すると、同居しているサイトにも影響が及ぶ。同居しているサイトの一覧が無いと、更新の連絡を、同じサーバーを使う関係者に漏れなく出せない。

「古い版だけ探す」では足りない

先ほどのNCSCの引用は、古い版だけに絞って探すことを戒めている。今回の修正版は、8.2、8.3、8.4、8.5の最近の系統にも出た。最新の系統を使っていても、修正版の番号に達していなければ、対象になる。一覧に書くのは、版の番号そのもの(たとえば8.3.20)である。「8.3系」とだけ書くと、修正版に届いているかが分からない。

PHPの入手元が一覧の列になる理由

PHP公式の告知は、修正版の届き方が、入手元で違うことを書いた。

"Linux distributions and LTS vendors received the patches in advance, so check your vendor for updated packages."

(訳: Linuxのディストリビューションと、長期サポートを売る事業者は、あらかじめ修正を受け取っているので、更新されたパッケージがあるかを、自分の事業者に確かめるとよい。)

一方で、告知は、ボランティアが保守しているパッケージの置き場について、こう書く。

"If you rely on the volunteer-maintained rpms.remirepo.net, we urge you to switch to distribution packages or build from source, so you can immediately apply updates. The repo will not have updates today."

(訳: ボランティアが保守しているrpms.remirepo.netに頼っているなら、すぐに更新を当てられるよう、ディストリビューションのパッケージに切り替えるか、ソースから作ることを強く勧める。この置き場は、今日は更新が出ない。)

同じ「8.3系」でも、どこから入れたPHPかで、修正版がいつ届くかが違う。そのため、一覧にはPHPの入手元の列を入れる。

PHPを同梱する製品もある

NCSCの告知は、第三者のソフトの更新を見続けるよう、次のように求めている。

"Continuously monitor for security updates from third-party software vendors, including for appliances and services that may bundle PHP."

(訳: 第三者のソフトの提供元からのセキュリティ更新を、継続して見ること。PHPを同梱しているかもしれない機器やサービスも含む。)

自分で入れたPHPだけでなく、サイト運営に使っている機器やサービスの中にも、PHPが入っていることがある。一覧に「その他のPHPを使う製品」の行を足す余地を残しておく。

03 この記事に出てくる用語

台帳(担当サイトの一覧)

この記事では、担当しているサイトを1行ずつ書き、PHPの版や連絡先などの列を並べた一覧を、台帳と呼ぶ。表計算ソフトでよい。大事なのは、行が増えたときに、列が揃っていることである。

系統と版

PHPの版「8.3.36」の最初の2つの数字(8.3)が系統で、3つ目の数字は、その系統の中の通し番号である。サポートの期限は、系統ごとに決まる。

セキュリティサポートと終了日(EOL)

セキュリティサポートは、重大なセキュリティの問題が見つかったとき、修正版が出る期間をいう。終了日(End of Life)を過ぎた系統には、PHPプロジェクトから修正版が出ない。

PHP-FPMとmod_php

どちらも、WebサーバーがPHPを動かす方式の名前である。PHP-FPMは、Webサーバーとは別のプロセスとして動かす方式で、mod_phpは、Apacheの中にPHPを組み込む方式である。方式は、一覧の2番目の列に書く(04章)。

同居

1つのサーバー、または1つのPHPを、複数のサイトが共有している状態をいう。共用のレンタルサーバーでは、契約者同士が同じサーバーを使う。この記事では、自分が担当するサイトどうしの同居を、一覧に書く。

04 型別 — 8つの列を埋めて、数分で答えられる一覧にする

🅰 この作業が当てはまる人

複数のサイトを担当している人が対象である。制作会社や、社内のWEB担当者、副業で複数のクライアントのサイトを預かっている人を想定する。担当が1サイトだけなら、一覧にせず、前の記事WordPressの更新は要らないが、PHPの更新は要る。公式の記事が書いたこと ── サイトヘルスで版を見て、事業者に確かめる13項目(2026年10月時点)の手順で足りる。

🅱 この作業が測っていないこと

  • 自動の棚卸しツールの精度 — この記事は、手で書く一覧を扱う。自動でPHPの版を集める道具の精度は、確かめていない
  • 各事業者の対応状況 — 事業者ごとの対応は、公式の告知を開いて確かめる。この記事には書かない
  • 攻撃を受けたかどうか — 一覧は、どのサイトを調べるかを決める道具で、侵害の有無は分からない。疑うときの症状の例は、WordPress.orgのFAQが挙げている
  • PHP以外の部品の版 — WebサーバーやCMSの版は、PHPと別の列を足すことになる。この記事は扱わない

🅲 手順: 列を決め、サイトを書き出し、埋める

台帳の列は、次の8つにする。左から、「どのサイトか」「誰に聞くか」「いつまで修正が出るか」の順に並べると、知らせが来た日に、上から順に読める。

PHPの台帳の8つの列を3つのまとまりに分けた図。どのサイトかを示す列がサイト名とURLとサーバーの種類と動かし方、PHPの状態を示す列がWebを動かすPHPの版とセキュリティサポートの終わる日とPHPの入手元、誰に聞くかを示す列が更新する人と連絡先と同居するサイトと最後に確かめた日
台帳の8つの列。「どのサイトか」「PHPの状態」「誰に聞くか」で並べる(筆者の整理)

ブログPHPの重大な脆弱性「php2shell」を、初心者から上級者まで1本で ── 自分のサイトは関係あるか、更新の順番、更新の後に確かめること、攻撃を受けたかの調べ方、当サイトとチームの記録の5つの列との対応

ブログPHPの重大な脆弱性「php2shell」を、初心者から上級者まで1本で ── 自分のサイトは関係あるか、更新の順番、更新の後に確かめること、攻撃を受けたかの調べ方、当サイトとチームの記録の「担当サイトの一覧に、足す列」は、PHPで動くか、サーバーの管理者、PHPの系統と修正版への更新日、更新の窓口、更新後の確認を済ませた日の5つである。この記事の8列では、管理者と窓口を「更新する人と連絡先」に、系統を「Webを動かすPHPの版」に重ねた。161の「PHPで動くか」は、05章の2番目の項目(分からないサイトに「不明」と書く作業)に当たる。足したのは、サポートの終わる日、同居するサイト、PHPの入手元と、動かし方である。

161の「修正版への更新日」と「更新後の確認を済ませた日」は、この記事の8列に入っていない。「最後に確かめた日」は、台帳の行を見直した日で、修正版に上げた日ではないからである。修正版に上げた日や、更新後の確認を済ませた日を残したいときは、別の列を足す。

PHPの動かし方は、2番目の列に書く

PHP公式の告知は、動かし方によって、危険の大きさが違うと書く。

"We consider the risk highest for mod_php, with a demonstrated exploit where an unauthenticated request can trigger the attack before any application code runs."

(訳: 危険がいちばん高いのはmod_phpだと考える。アプリケーションのコードが動く前に、認証のない要求が攻撃を引き起こせる、実証された攻撃があるからである。)

そのため、列は増やさず、2番目の列に「PHP-FPM」「mod_php」「不明」のいずれかを添える。分からない契約は「不明」と書き、事業者に聞く。更新の順番の材料にするかは運営者の判断で、告知は順番までは書いていない。

手順1: 担当サイトを全部書き出す

サイト名とURLを、契約書、請求書、ドメインの管理画面、事業者の管理画面の一覧などから書き出す。1つの情報源に頼らず、複数を突き合わせる。忘れられたサイトは、PHPの更新が止まったまま残りやすい。NCSCの「PHPのインストール全般を洗い出す」に当たる作業である。

手順2: Webを動かしているPHPの版を、版の番号で書き写す

サイトごとに、PHPの版を書き写す。WordPressなら、管理画面の「ツール → サイトヘルス → 情報 → サーバー」で見られる。レンタルサーバーなら、管理画面のPHPの設定に出る。自分でサーバーを管理するなら、Webを処理しているPHPの版を調べる。サーバーで打つコマンドのphpと、Webを動かすPHPが別の版のことがあるので、ブログPHPの重大な脆弱性「php2shell」を、初心者から上級者まで1本で ── 自分のサイトは関係あるか、更新の順番、更新の後に確かめること、攻撃を受けたかの調べ方、当サイトとチームの記録の落とし穴の節を先に読む。

実務のヒント

書き写した版は、管理画面の表示そのままを書く。「たぶん8.3」と丸めると、修正版に届いているかが後から分からなくなる。番号が出ない契約では、「版の番号は出ない」と書き、事業者に聞く。

手順3: 期限を、公式のページから書き写す

PHP公式の2つのページから、期限を書き写す。系統ごとの値は、2026年10月23日の時点で、次の表のとおりである。WordPressのサイトなら、WordPress.orgの要件のページが、ホスティングに勧めるPHPの版を8.3以上と書くので、8.3未満の行は移行の候補になる。WordPress本体とPHPの版の組み合わせは、WordPress開発チームの互換性のページの表で確かめられる。

系統セキュリティサポートの終わる日台帳に書くときの区分
8.52029年12月31日サポート中
8.42028年12月31日サポート中
8.32027年12月31日サポート中
8.22026年12月31日サポート中(残りわずか)
8.12025年12月31日終了済み
8.02023年11月26日終了済み
7.42022年11月28日終了済み

8.1以前の「終わる日」の値は、サポートの終わった系統のページの「end of life」の日付である。終了済みの系統は、PHPプロジェクトから修正版が出ない。PHP公式の告知は、8.1以前について次のように書く。

"PHP 8.1 and older no longer receive updates from the PHP project."

(訳: PHP 8.1以前は、PHPプロジェクトから更新を受けない。)

手順4: 更新する人と、連絡先を書く

サイトごとに、PHPを更新する人(事業者、制作会社、運営者本人)と、連絡する方法を書く。メールアドレス、電話、問い合わせフォームのURL、事業者のお知らせのページのURLを、1つの欄に入れておく。知らせが来た日に探さなくて済む。

手順5: 同居するサイトと、PHPの入手元を書く

同じサーバーや同じPHPを共有するサイトを、同居の欄に書く。共用のレンタルサーバーでは、同居の相手は他社のサイトだが、自分の担当サイトが同じサーバーに複数あるかどうかは、書ける。入手元の欄には、事業者が管理、OS標準、第三者の置き場、自分で組み立てた、のどれかを書く。分からなければ「不明」と書いて、事業者に聞く。

手順6: 台帳の見本

次の表は、台帳の見本である。サイトの名前、URL、版、連絡先は、すべて架空の例で、実在のサイトや事業者とは関係がない。

サイト名とURLサーバーの種類と動かし方Webを動かすPHPの版サポートの終わる日更新する人と連絡先同居するサイトPHPの入手元最後に確かめた日
サイトA(a.example.jp)共用レンタル(方式は不明)8.3.362027年12月31日事業者X(お知らせのURLを記入)なし事業者が管理2026年10月23日
サイトB(b.example.jp)専用のマネージド(方式は不明)8.2.352026年12月31日事業者Y(問い合わせフォームのURLを記入)なし事業者が管理2026年10月23日
サイトC(c.example.jp)自分で管理するVPS(PHP-FPM)8.4(版の番号を確認中)2028年12月31日自分(担当者のメールを記入)サイトDOS標準2026年10月23日
サイトD(d.example.jp)自分で管理するVPS(PHP-FPM)8.4(版の番号を確認中)2028年12月31日自分(担当者のメールを記入)サイトCOS標準2026年10月23日
サイトE(e.example.jp)制作会社に預けている(不明)不明不明制作会社Z(担当者を記入)不明不明未確認

見本の5行目のように、分からない欄は空にせず、「不明」「未確認」と書く。空欄は、書き忘れなのか、分からないのかが区別できない。「不明」の行は、次にすることが決まる(制作会社に聞く)。

手順7: 更新の頻度を決める

台帳は、作った日が最も新しい。古くならないよう、見直す日を決める。目安は、次の3つである。月に1回、全行の「最後に確かめた日」を見直す。今回のような知らせが来たときに、全行を確かめる。サポートの終わる日の90日前に、その行を目立たせる(90日は筆者の目安で、公式の数字ではない)。

台帳を保つ3つの見直しの時点を並べた図。月に1回、全行の最後に確かめた日を見直す。重大な脆弱性などの知らせが来たとき、全行を確かめる。サポートの終わる日の90日前に、その行を目立たせて移行を決める。8.2系は2026年12月31日が期限で、90日前は2026年10月2日にあたる
台帳を保つ3つの見直し。8.2系の期限(2026年12月31日)の90日前は、2026年10月2日(筆者の整理)

手順8: 台帳を書き出して、保存場所を決める

台帳は、表計算ソフトの1枚のシートでよい。上の見本の表は、CSVで書き出せる形にしてある。書き出した台帳を、誰が見られる場所に置くかを決める。

置き場所に注意

台帳には、契約の種類や連絡先が入る。公開の場所には置かない。見られる人は、担当者と、その代わりに動く人に限る。台帳をそのまま公開すると、どのサイトが古い版かを、外の人に教えることになる。

05 明日、自社のサイトで確認できることチェックリスト

以下は、担当サイトのPHPの台帳を作り、保っているかを確かめる13項目である。1〜3番目はサイトを書き出す、4〜8番目は列を埋める、9〜11番目は見直しの仕組み、12〜13番目は答える速さの確認である。1項目は5分以内でできる。チェックの状態はブラウザに保存され、サーバーには送られない。

  • 契約書、請求書、ドメインの管理画面から、担当サイトの名前とURLを書き出し、本数を数える
  • 書き出したサイトのうち、PHPで動いているか分からないものに「不明」と書き、事業者か制作会社へ聞く文を書く
  • サイトごとに、契約の種類(共用・マネージド・VPS・制作会社に預けている)と、PHPの動かし方(PHP-FPM・mod_php・不明)を書く
  • サイトごとに、Webを動かしているPHPの版を、管理画面かサイトヘルスで書き写す
  • 書き写した版の隣に、その系統のセキュリティサポートが終わる日を、PHP公式のページから書き写す
  • サイトごとに、PHPを更新する人と、連絡先(メール・電話・フォームのURL)を書く
  • 同じサーバーに同居している自分の担当サイトを、事業者の管理画面で確かめて、同居の欄に書く
  • PHPの入手元(事業者が管理・OS標準・第三者の置き場・自分で組み立てた)を書き、分からない行に「不明」と書く
  • 「最後に確かめた日」の列を作り、今日の日付を入れる
  • サポートの終わる日が90日以内の行に色を付け、台帳を終わる日の順に並べる
  • 台帳をCSVで書き出し、保存場所と、見られる人の名前を台帳の1行目に書く
  • 月に1回の見直し日と、サポートの終わる日の90日前の日を、カレンダーに入れる
  • 台帳から1行を選び、「このサイトは今回の知らせに当たるか」を、時計で測って3分以内に答える

1番目と4番目の確認では、サイトの外から見える情報も役に立つ。当サイトの無料ツールの1つ、🔧 WEBサイトの外からできるセキュリティ対策監査ツールは、外部からサイトの情報を集め、利用しているCMSやフレームワークなどのWebテクノロジーの検出も含めて、リスクを評価する(要ログインのツール)。このツールがPHPの版の番号まで示すかどうかは、この記事では確かめていない。

9番目の「最後に確かめた日」を入れるときに、サイトの見た目を日付つきで残しておくと、あとで比べられる。🔧 WEBサイトのスクリーンショット、まとめて撮っちゃおツールは、1つのサイトの複数のページを、まとめて撮る道具である(深さ3、最大30ページ)。台帳の行ごとに、更新の前後の大事なページを撮っておくと、表示の変化に気づきやすい。

06 代替・他の選択肢 — 台帳を作る方法は、1つではない

4つの方法と、それぞれが向くサイト

台帳を作る・保つ方法を、表にまとめる。「限界」の列は、筆者の整理である。

方法向くサイト限界(筆者の整理)
表計算ソフトで手書きする担当が数サイトから数十サイト書き写す手間がかかる。見直す日を決めないと古くなる
事業者の管理画面の一覧に頼る契約が1社に集まっているサイト事業者をまたぐと一覧がばらける。版の番号が管理画面に出ないことがある
外から調べる道具を併用するサイトの数が多く、書き出しだけでは追いつかない担当外から見えるのは一部。PHPの版の番号までは出ないことがある(この記事は確かめていない)
PHPを使う製品の公開リストを見る機器やサービスにPHPが同梱されているかを確かめたい担当NCSCの告知が挙げるオランダのNCSC-NLの一覧は、この記事では開いて確かめていない

手書きから始めて、行が増えてから道具を考える

最初は、表計算ソフトの1枚で始めるとよい。10行を超えたとき、書き写す手間が負担になるかを見て、道具を考える。道具を入れる前に、列の定義(8つの列が何を指すか)を決めておけば、道具に載せ替えるときも、迷わない。

実務のヒント

台帳の列の名前は、知らせが来たときの質問に合わせる。「どのサイトが当たるか」「誰に連絡するか」「いつまで修正が出るか」。質問に答えられない列は、書いても使われない。

07 当サイトで確かめたこと — この記事の根拠にした10ページと、確かめていないこと

2026年10月23日に取り直して照らした10ページ

この記事の引用は、2026年10月23日に、PHP公式サイトの3ページ(2026年のニュース、サポートされている版、サポートの終わった系統)、NCSCの告知、WordPress.orgの5ページ(告知、PHPを更新しよう、要件、サイトヘルス、サイトがハッキングされた)、WordPress開発チームの互換性のページの、合わせて10ページを開いて確かめたものである。引用の英文は、本文から全部抜き出して原文と照らした。

確かめていないこと

  • 台帳の見本の使いやすさ — 見本は架空の5行で、複数の人が実際に回した記録ではない
  • 自動で版を集める道具の精度 — 06章の表の3行目と4行目は、確かめていない
  • 90日前という目安 — 筆者の目安で、公式の数字ではない。移行に要る日数は、サイトごとに違う

当サイトのサーバーの対応

当サイト自身のサーバーの対応と、チームの記録は、ブログPHPの重大な脆弱性「php2shell」を、初心者から上級者まで1本で ── 自分のサイトは関係あるか、更新の順番、更新の後に確かめること、攻撃を受けたかの調べ方、当サイトとチームの記録に書いてある。サーバーの設定の中身は、公開すると攻撃の手がかりになるので、この記事には書かない。サーバーを更新した別の例は、ブログ記事のチェック項目を自分のサイトに当てたら、自分のサーバーが対象だった ── Apache 2.4.69を、記事を公開したその日に上げるまでにある。

「一覧を作る」を、仕組みにする

ブログ"仕組み"を作れるWEBディレクターになれ — AIツールが溢れる時代に、本当に必要なものを見極めるは、毎日続ける作業を、決まった型にして回す考え方を扱った。台帳も同じで、作ったあとに見直す日を決めて、はじめて回る。ブログ自分のツールで自分を診断したら64点だった — WEB担当者が「チェックしない」罠が書いたように、自分のサイトを自分で調べる作業は、やらないままになりやすい。月に1回の日付を、カレンダーに入れるところまでを、作業に含める。

08 このテーマは、ここまで

2026年10月21日 — PHP公式とNCSCの告知

PHP公式サイトが、重大な脆弱性2件の修正版(8.5.12、8.4.27、8.3.36、8.2.35)を告知し、NCSCが、PHPのインストール全般を洗い出すことを、対応の1番目に挙げた。

2026年12月31日 — 8.2系のセキュリティサポートの終わる日

PHP公式の「サポートされている版」のページは、8.2系のセキュリティサポートを、2026年12月31日までと表示している。台帳の「サポートの終わる日」の列で、この日が来る行を、先に目立たせる。移行の進め方は、解説記事PHP 8.2のセキュリティサポートは2026年12月31日で終わる ── 自社と担当サイトのPHPの版を確かめ、年内の移行先と試験日を決める13項目(2026年10月時点)にある。

2026年10月23日 — この記事の確認日

この記事の内容は、2026年10月23日に、10ページを開いて確かめた時点のものである。期限の表の日付が変わったときは、この記事に日付つきで追記する。

PHPの重大な脆弱性の知らせが来た日に、どのサイトが当たるかを数分で答えるには、担当サイトの一覧が要る。英国NCSCが対応の1番目に挙げた洗い出しを、8つの列、サポート期限の表、13項目の確認にして示す。見直す頻度と、分からない欄の書き方も扱う。
2025/05/31
THU
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株式会社ツクルン

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Webアドバイジング・クリエイター
池田 南美夫
もうすぐ●●歳。ずっーと現役SE。日本にインターネットが上陸してから、ずっーと携わる。 ほんとは超アナログ人間のギター弾き、バンドマン。でも音楽活動とSE、案外似てる。