検索順位別CTRは調査によって数字が違う ── 自社の数字をSearch Consoleで確認する14項目(2026年9月時点)
検索順位別CTRは調査によって数字が違う ── 自社の数字をSearch Consoleで確認する14項目(2026年9月時点)
目次
01 何が起きたか — 検索順位別クリック率(CTR)は、調査によって数字が大きく違う
ディーボが公開した「総表示3.59億回」の自社データ
2026年9月12日、株式会社ディーボのSEOラボが「検索順位別クリック率(CTR)2026」という記事を公開した。2025年5月から2026年9月までの約16ヶ月間、15業種以上のサイトから総表示3.59億回・総クリック645万回のGoogle Search Console実データを集計したもので、順位別のCTRは1位が9.01%、2位が4.12%、3位が2.96%、以下4位1.88%・5位1.29%・6位1.07%・7位0.86%・8位0.58%・9位0.53%・10位0.51%、2ページ目(11〜20位)は0.36%とされている。この数字だけを見ると、以前紹介されることが多かった「1位は20〜40%前後」という水準よりもかなり低く見える。
海外の複数調査との「一致」が示された
同記事は、この1位9.01%という数字について、海外の複数調査における「AI Overview(AI による概要)が表示されたときの水準」とおおむね一致すると紹介している。具体的には、Ahrefsが2026年7月に公開した日本の情報収集型キーワードの計測値9.0%、そしてSISTRIXがドイツの1億件以上のキーワードを分析した調査で示したAI Overview表示時11%という数字が引き合いに出されている。複数の調査が近い数字を示していること自体は、1つの調査だけを見るより判断材料が増える。ただし、それぞれの調査がどの国のどんな種類のキーワードを、いつのデータで測ったかは調査ごとに違う。06章で、この違いを1つずつ確認する。
掲載1〜3位でも「クリックがほぼ0」だった350キーワードの93.7%で、AI Overviewsが表示されていた
ディーボの記事は、CTRの数字だけでなくAI Overviewの表示状況もあわせて公開している。同記事によれば、掲載順位1〜3位でもクリックがほぼ0(CTR=0%)だった350キーワードを抽出したところ、そのうち93.7%でAI Overviewsが表示されていたという。さらに、AI Overviewsが表示されたページのうち、自社サイトが引用元として含まれていたのは50.9%にとどまったとも紹介されている。この93.7%は全キーワードの平均ではなく、ゼロクリックの要因を確認するために意図的に抽出したサンプルでの数字であることが、元記事自身にも明記されている。順位が高くてもAI Overviewsに引用されるとは限らず、引用されたとしても、そこからクリックされる保証はない。ただし、この93.7%と01章の総表示3.59億回のCTRとは対象にしているキーワードの母集団が異なる別々の数字であり、単純に「2段階のふるいの結果」として直結させることはできない。
02 なぜ・背景 — ゼロクリック検索の拡大と、各社が独自にCTRを測り始めた理由
ゼロクリック検索は2026年に68.01%まで拡大した
CTRが以前より低く見える背景には、検索結果をクリックせずに終える「ゼロクリック検索」の拡大がある。SparkToroのRand Fishkin氏が2026年6月に公開した分析によれば、Similarwebのパネルデータを使って米国のGoogle検索を調べたところ、2026年1〜4月のゼロクリック率は68.01%で、2024年の60.45%から7.56ポイント増加していた。同記事は2016年が約45%、2019年が約49%だったという過去の水準も紹介しており、この10年でゼロクリックの割合が拡大し続けていることがうかがえる。ただし同記事自身が、2016年・2019年と2024年・2026年ではデータの提供元が異なる点を明記しており、この点は07章で改めて確認する。
Search Consoleにも、生成AI専用のレポートが加わった
Google自身も、AI機能の中での見え方を測る手段を用意し始めている。Search Consoleヘルプによれば、2026年8月31日付けで「生成AIパフォーマンスレポート」が世界中の全サイトにリリースされ、「AI による概要」と「AI モード」という2つの機能でのインプレッション数を確認できるようになった。ただしこのレポートで確認できるのはインプレッション数(表示回数)のみで、クリック数やCTRは含まれていない。この点は05章のチェックリストと関わってくるので、覚えておいてほしい。
実務のヒント
自社サイトがAI機能でどれだけ表示されているかを含め、Search Consoleの各種指標を横断的に確認したいときは、当サイトの🔧 Google Search Console お助けツールで見方を先に整理できる。
03 この記事で出てくる用語
用語
CTR(クリック率)—Search Consoleのヘルプページでは、クリック率について「クリック数を表示回数で割った値です」と説明されている。検索結果に表示された回数のうち、実際にクリックされた割合を示す指標。
「平均掲載順位」は小数点になる指標
順位別のCTRを語るときの前提として、Search Consoleが示す「掲載順位」は常に小数点を含む平均値である。公式ヘルプは「パフォーマンス レポートに表示される掲載順位値は、検索結果内のプロパティまたはページへのリンクに付与される最上位の掲載順位であり、そのプロパティが表示されるすべてのクエリでの平均です」と説明しており、例えばクエリ1で2位、クエリ2で3位に表示されたページの平均掲載順位は2.5になる。「1位」「2位」という整数の順位を前提にした比較表は、実際のSearch Console上のデータとは、そのままでは一致しないことを踏まえておく必要がある。
用語
ゼロクリック検索—検索結果ページを見た後、どのリンクもクリックせずに検索行動を終えること。AI Overviewのように検索結果ページ内で答えが完結する機能が増えるほど、割合が高くなる傾向がある。
検索パフォーマンスレポートで絞り込める6つの軸
Search Consoleヘルプによれば、検索パフォーマンスレポートは「クエリ」「ページ」「国」「デバイス」「検索での見え方」「日付」という6つの軸で絞り込める。05章のチェックリストは、このうち「ページ」「クエリ」「デバイス」「日付」の4つを使って、順位別CTRを自社データで確認する手順になっている。「検索での見え方」は、ウェブ・画像・動画などの検索タイプを分ける軸で、2026年9月時点ではAI Overviewを個別に絞り込む項目は含まれていない。
「AI Overview」と「AI Mode」は別の機能
この記事で何度か登場する「AI Overview(AI による概要)」は、通常の検索結果の上部にAIが生成した要約を表示する機能で、「AI Mode(AI モード)」は検索そのものを対話形式で行う別のモードを指す。Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートは、この2つを対象にしている。
04 型別 — 適用範囲・この記事が測っていないこと・手順
🅰 適用範囲 — この記事の数字が参考になる場面
この記事で紹介する複数の調査は、自社のCTRが極端に低くないかを大まかに見積もる目安として使える。ただし01章のディーボの数字は「15業種以上を横断した平均」であり、業種・キーワードの種類(指名検索か情報収集型かなど)によってCTRは大きく変わる。自社の正確な数字は、05章の手順でSearch Consoleから直接確認する必要がある。
指名検索とそれ以外を分けて考える
自社のCTRを他社の調査と比べるときは、指名検索(自社名・ブランド名を含む検索)を含めているかどうかも確認しておきたい。指名検索は、検索した時点で目的のサイトがほぼ決まっているため、一般的な情報収集型キーワードよりもCTRが高くなりやすい。指名検索の比率が高いサイトを、指名検索を除いた調査の数字と比べると、実態より低い評価をしてしまうことがある。05章のチェックリストにも、この違いを確認する項目を入れている。
🅱 この記事が測っていないこと・分からないこと
この記事は、公開されている複数の調査記事を確認して書いている。各調査の元になった生データ、業種別・キーワード種類別の詳しい内訳、そして日本国内におけるAI Overview表示率の網羅的な数字までは、公開されている記事の範囲では確認できなかった。また、当サイト自身のSearch Consoleデータを使った独自の測定は、この記事では行っていない。分からないことを、分かるふりで埋めない。
🅲 手順 — 複数の調査を比べるときの3段階
CTRを扱う調査記事を複数見比べるときは、まず対象国とキーワードの種類を確認し、次にデータの取得期間を確認し、最後にAI Overviewの表示有無で数字を分けているかを確認する、という順序で読むと、数字の違いの理由が見えやすくなる。
サンプルの規模も、あわせて確認する
06章の比較表に挙げた調査は、サンプルの規模も大きく異なる。ディーボは総表示3.59億回、SISTRIXのドイツ調査は1億件以上のキーワードを対象にしている一方、Pew Researchの調査は約900人・約7万件の検索という規模である。サンプルが大きいほど平均値は安定するが、大きなサンプルでも、対象が偏っていれば自社に当てはまらないことがある。数字の大小だけでなく、何件・何人分のデータかも、あわせて見ておきたい。
05 明日、自分のサイトで確認できることチェックリスト
以下は、自社の順位別CTRをSearch Consoleで確認するための手順である。チェックの状態はブラウザに保存され、サーバーには送信されない。
- Search Consoleの「検索パフォーマンス」レポートを開く
- 「ページ」タブで主要ページを1件選び、フィルタとして適用する
- 表示された「掲載順位」の数値が整数ではなく小数点であることを確認する
- 「クエリ」タブに切り替え、そのページに紐づく上位10クエリのCTRを確認する
- 掲載順位が1〜3の範囲にあるクエリと、4以降のクエリでCTRの差がどれだけあるか比較する
- 期間を「直近3ヶ月」に設定し、CTRの推移に大きな変化がないか確認する
- 「デバイス」フィルタでモバイルとデスクトップのCTRを分けて確認する
- 指名検索(自社名を含むクエリ)とそれ以外のクエリで、CTRがどれだけ違うか比較する
- 「検索での見え方」フィルタを開き、AI Overviewを個別に絞り込む項目が無いことを確認する
- 「生成AI」タブ(生成AIパフォーマンスレポート)を開き、インプレッション数だけが表示され、クリック数やCTRが無いことを確認する
- 自社サイトのCTRが1位で1桁台(10%未満)でも、それ自体で異常と判断しないことを確認する
- 主要ページで、掲載順位のわりにCTRが極端に低いクエリが無いか、上位20件から探す
- 見つかったクエリについて、titleタグと検索意図が一致しているか確認する
- meta descriptionが検索結果に採用されているか、実際の検索結果画面で確認する
| 観点 | 該当する項目 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 基本操作・掲載順位の確認 | 1〜3番目(3項目) | 10分 |
| 順位別・条件別のCTR比較 | 4〜8番目(5項目) | 20分 |
| AI機能まわりの確認 | 9〜10番目(2項目) | 10分 |
| 異常値の洗い出しと対応 | 11〜14番目(4項目) | 25分 |
すべてに目を通す時間の目安は1サイトあたり55〜65分程度である。主要ページが複数ある場合は、ページ数に応じて時間が伸びる。作業の中で異常値が見つかった場合は、その場で修正せず、まず候補として書き留めておき、複数ページ分をまとめて確認してから優先順位をつけるほうが、手戻りが少なく進められる。Search Console全体の技術的な状態もあわせて見ておきたい場合は、当サイトの🔧 WEBサイト総合分析・レポートツールで先にサイト全体を確認しておくと効率がよい。
06 代替・他の選択肢(表で)
順位別CTRを知る手段は、1つの調査に頼らなくてよい
順位別CTRを紹介する調査は、01章のディーボ以外にも複数存在する。それぞれ対象国・データソース・測定期間が異なり、数字が違って見えるのは、多くの場合「測っているものが違う」ためである。
| 調査・ツール | 1位のCTR等 | 対象・データ | 時点 |
|---|---|---|---|
| ディーボ | 9.01% | 日本・15業種以上・自社GSC実データ | 2025年5月〜2026年9月 |
| Ahrefs | 9.0%(AI概要表示時の計測値) | 日本・情報収集型キーワード | 2026年6月時点 |
| First Page Sage | 39.8%(クリーンなSERP) | 複数ソースのメタ分析・国は非公開 | 2025年5月更新 |
| SISTRIX | 27%→11%(AI概要の有無) | ドイツ・1億件以上のキーワード | 2026年2月公開・8月更新 |
| SISTRIX (Pew Research紹介) | 約15%→約8% | 米国・約7万件の検索・約900人 | 2025年7月公開 |
| Advanced Web Ranking | 毎月更新(非公開ページで確認) | 米国中心・匿名化したGSCデータを集約 | 2015年9月から毎月継続 |
継続的に追う手段としてのAdvanced Web Ranking
ここまでの調査の多くは、ある1時点を切り取った単発の記事である。それに対してAdvanced Web Rankingが公開している「Google Organic CTR」ツールは、2015年9月から毎月、米国を中心とした匿名化Search Consoleデータを集計して更新し続けている。同ツールの説明には「A new dataset has been published every month since September 2015(訳: 2015年9月以降、毎月新しいデータセットを公開している)」とある。単発調査は「その時点の数字」しか示さないが、継続更新型のツールは時系列での変化を追えるという違いがある。ただし対象が米国中心である点は、日本のサイトに当てはめる際に考慮が必要になる。
数字が違う3つの理由
06章の比較表を見ると、1位のCTRだけでも9%から40%近くまで幅がある。この幅を生んでいる主な理由は3つある。第一に対象国が違う(日本とドイツと米国では、検索結果の見え方もユーザー行動も異なる)。第二にキーワードの種類が違う(指名検索を含むか、情報収集型だけに絞っているか)。第三にAI Overviewの表示有無で数字を分けているかどうかが違う。この3つを確認しないまま数字だけを比較すると、実際には測定条件が違う数字を、同じ土俵で比べてしまうことになる。ディーボの記事自身も、検索意図(指名検索・情報収集型・比較検討型など)やジャンルによってCTRの差が大きいことを紹介しており、「業種平均」の数字1つだけを自社の目標値に据えるのは、条件をそろえずに比較する形に近い点は留意しておきたい。
07 この種の調査を読むときに実際に確かめたこと
同じ調査元でも、いつ確認したかで数字が違って見えることがある
この記事を書く過程で、First Page Sageの公式ページを直接開いて確認した。ディーボの記事はFirst Page Sageの調査として「AI概要ありの場合9.4%」という数字を紹介していたが、2026年9月に同ページを直接確認したところ、「9.4%」という数字は見当たらず、代わりに「AI Overview内での1位のCTRは38.9%」「AI Overviewが表示されても通常の検索結果へのCTRへの影響は最小限」という、異なる趣旨の記述が確認できた。同ページの最終更新日は2025年5月28日だが、内容が更新されるページを、いつ確認したかによって、引用元と手元の確認結果が食い違うことがあるという実例になる。どちらが誤りだったのかをこの記事では断定しない。分からないことを、分かるふりで埋めない。
SparkToro自身が明かした「りんごとみかんの比較」
02章で紹介したSparkToroのゼロクリック調査は、自らその限界を明記している点で参考になる。同記事は、2016年・2019年のデータはJumpshot社、2024年はDatos社、2026年はSimilarweb社と、年によって異なるデータ提供元(パネル)を使っていることを認めた上で、厳密には条件の異なる比較であると自己申告している。さらに「Googleのモバイル検索アプリを対象に含んでいない」ため、実際のゼロクリック率はさらに高い可能性があるとも述べている。調査する側が自ら限界を書いている記事は、書いていない記事より安心して数字を使える。当サイトでも、同じ調査・同じプラットフォームの数字が引用のされ方によって印象を変えてしまう例を確認したことがある(archives/123)。
注意
調査記事を読むときは、その記事が「何年の、どの国の、どんなキーワードの数字か」を明記しているかを確認する。明記されていない場合、他の調査と単純に比較することはできない。今回のように、同じ調査元のページを別の日に確認しただけでも、掲載されている数字や説明が変わっていることがある。
08 このテーマの、これまで
順位別CTRの継続測定は、2015年から続いている
06章で紹介したAdvanced Web Rankingのツールが示すとおり、順位別CTRを継続的に測る取り組み自体は、AI Overviewが登場するよりずっと前の2015年9月から続いている。当時は「1位のCTRは20〜30%台」という水準が一般的な目安として語られることが多かった。
2026年、Search Consoleに「生成AIパフォーマンスレポート」が加わった
02章で触れたとおり、2026年8月31日、Search Consoleに生成AI専用のレポートが世界中の全サイトへリリースされた。当サイトでは、生成AIパフォーマンスレポートが実際にどこまで見えるのかを、公開から93日間の実データで確認した記録がある(archives/125)。表示回数(インプレッション数)は確認できるようになった一方で、クリック数・CTR・掲載順位・検索キーワードはまだ含まれておらず、「見えるようになった」と「クリック率まで測れるようになった」は、まだ別のことである。GSC・GA4・Bingという3つのツールを使って、AIに表示された回数をどこまで立体的に把握できるかを確認した記録も、別の回で残している(archives/76)。
AI Overviewの表示率自体も、調査ごとに変わり続けている
SparkToroの分析は、AI Overviewsが表示される検索の割合について、米国で「20%以上(20%+)」という数字を紹介している。この割合は固定されたものではなく、Googleのアップデートのたびに変わりうる。01章のディーボの数字(93.7%)は、あくまでディーボの顧客サイトで掲載1〜3位なのにクリックがほぼ0だった350キーワードに限った割合であり、検索全体でのAI Overview表示率とは対象が異なる。同じ「AI Overview表示率」という言葉でも、全体で何件のうちの割合かを確認しないと、数字を正しく比較できない。
それでも、順位別CTRそのものは今も動き続けている
AI Overview・AI Modeの拡大によって、ゼロクリック検索の割合は年々増え続けている。当サイトでは、AI Modeの利用でゼロクリックが93%に達する一方、引用されたサイトのCTRはむしろ35%上昇したという調査を紹介したこともある(archives/58)。順位別CTRという1つの指標だけでは、ゼロクリックの拡大と、引用された場合の変化という、2つの異なる動きを同時には捉えられない。同じ条件で継続的に測り続けなければ、変化の方向すら見誤ることがある(archives/117)。数字を扱うときは、常に「いつの数字か」を確認する習慣が欠かせない(archives/34)。
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