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「ゼロクリック検索47%」の出どころを確かめたら、41%・48.8%・58.5%・68%の4つの数字に行き着いた

目次
  1. 01 「47%」という数字は、どこから来たのか
    1. きっかけになった記事は、動画への入口だった
    2. 「47%」の一次情報にはたどり着けなかった
    3. 「41%」は、別の調査の数字と近かった
  2. 02 「ゼロクリック」の定義は1つではない
    1. SparkToroの2024年調査――データソースはDatos
    2. 同じ2024年、同じ米国で、違うパネルは違う数字を出した
    3. 分母(何を1と数えたか)が変われば、数字は動く
  3. 03 国ごとに違う数字――日本は本当に低いのか
    1. iPullRankの131億件調査――日本は最も低いグループ
    2. 同じ「日本」で、別の調査は48.8%を出している
    3. 4つの調査を並べてみる
  4. 04 Googleは「ゼロクリック」という主張に反論している
    1. 2021年、Google公式が出した反論
    2. 「メソッドが誤っている」という指摘の中身
    3. 反論と調査、どちらも一次情報として扱う
  5. 05 明日、自分のサイトで確認できること
    1. チェックリストの狙い
    2. 優先順位のつけ方
  6. 06 表示はあるのにクリックがないクエリの見つけ方
    1. Search Consoleの「検索結果」レポートを開く
    2. 表示回数でソートし、クリック数の列を見る
    3. 掲載順位とあわせて確認する
    4. 確認の入口を、レポートごとに分けて考える
  7. 07 ゼロクリックでも価値がある場合
    1. 強調スニペットに出ているだけでも意味がある
    2. Googleの新しいAIパフォーマンスレポートが見せてくれること
    3. 「クリックされない」と「見られていない」は違う
  8. 08 当サイトでの実践例
    1. 表示2,880・クリック3・CTR0.1%という実測
    2. ゼロクリックのせいだと決めつけなかった理由
    3. 「順位が落ちた」週と、この記事の切り分けは同じ形をしている
    4. 測った記録があること自体が、次の判断の材料になる
  9. 09 この記事のまとめ

01 「47%」という数字は、どこから来たのか

きっかけになった記事は、動画への入口だった

この記事を書くきっかけは、SEO情報サイトが2026年8月10日に公開した週次まとめ記事だった。タイトルには「Google検索の47%がゼロクリック、それでも日本では41%」とある。元記事を開いて確かめると、本文はごく短い。「2026年8月第1週の注目SEOニュースに選んだのは3つのトピック」と書かれ、その1つとしてこの見出しが挙げられているだけで、詳しい解説はYouTube動画に委ねる構成になっている。数字の出典・調査元は、この記事自体には一行も書かれていない。

「47%」の一次情報にはたどり着けなかった

正直に書く。この記事を書くために、「47%」という具体的な数字と一致する一次情報を探したが、見つからなかった。ゼロクリック検索を扱う調査は複数存在し、後述するとおり米国では58%台〜68%台、日本では41%台〜48%台という数字が確認できる一方、「47%」とぴったり重なる公表資料には行き着けなかった。動画本編を確認すれば紹介元が分かる可能性はあるが、この記事は文字情報として確認できた一次情報だけを扱う方針をとっているため、「47%」の出典は特定できなかった、と正直に書いておく。

「41%」は、別の調査の数字と近かった

一方、「日本では41%」という数字は、時期の近い別の調査と近い値だった。2026年7月30日に公開されたiPullRankの調査が、日本のセッションレベルのゼロクリック率を約41%と報告している。元記事の公開日(8月10日)より前に出ている調査であり、時期的にも符合する。ただし、これは「同じ数字だから同じ調査を参照しているはずだ」という推測にとどまる。次章以降で確認するとおり、「ゼロクリック」という言葉自体、測り方によって答えが変わる指標だ。1つの数字の出どころを詮索するより、その数字が何を測っているかを確認するほうが、実務上は意味がある。以下、この記事では「41%」「48.8%」「58.5%」「68.01%」という、それぞれ出典を確認できた4つの数字を並べて、なぜこれだけ幅が出るのかを1つずつ確かめていく。

02 「ゼロクリック」の定義は1つではない

本題に入る前に、言葉そのものを確認しておく。ゼロクリック検索とは、検索結果画面に何らかの回答や情報が表示され、ユーザーがそこで満足してリンクを一切クリックせずに検索を終える、あるいは別のクエリで検索し直す状態を指す。強調スニペット・ナレッジパネル・AI Overviewsなど、検索結果自体が答えを見せる機能が増えるほど、この状態は起きやすくなる。ここまでは各調査でおおむね共通する理解だ。違ってくるのは、この状態を「どこから」「どう」数えるかという部分になる。

SparkToroの2024年調査――データソースはDatos

ゼロクリック検索を継続的に調査している代表的な発信者に、SparkToro共同創業者のRand Fishkin氏がいる。2024年7月2日に公開した調査記事では、Datos社のクリックストリームパネル(数千万ユーザー規模、デスクトップとAndroidモバイルが対象、iPhoneは対象外)を使い、2022年9月から2024年5月までのデータで、米国のゼロクリック率を58.5%、EUを59.7%と算出している。1,000件の検索あたり、米国ではオープンウェブへのクリックが374件、EUでは360件という数え方だ。

用語

クリックストリームデータ: 調査対象者がブラウザ拡張機能やアプリを通じて計測に同意し、実際の閲覧行動(どのページを開き、どこをクリックしたか)を記録したログのことです。アンケートの自己申告とは異なり、実際の操作履歴に基づく点が特徴です。

同じ2024年、同じ米国で、違うパネルは違う数字を出した

ここに、この記事の核になる事実がある。2026年6月9日にSparkToroが公開した続報では、データ提供元をDatosからSimilarweb(デスクトップ・モバイル両パネル)に切り替えている。この続報が同じ2024年を基準値として算出したゼロクリック率は60.45%だった。2024年7月の記事が同じ年について58.5%と報告していたのに対し、データ提供元を変えただけで、同じ年・同じ国の数字が1.95ポイント動いている。そして2026年1〜4月のデータでは68.01%まで上昇したと報告されている。

出典(数値の突き合わせ)

SparkToro「2024-zero-click-search-study」(2024年7月2日・Datosベース): 米国58.5%。同「in-2026-less-than-one-third」(2026年6月9日・Similarwebベース): 2024年時点60.45%→2026年1-4月68.01%。調査元も著者も同じ、対象年も同じ「2024年」でありながら、算出に使ったパネルが違うだけで数字が変わっている。

分母(何を1と数えたか)が変われば、数字は動く

この違いを「どちらかが間違っている」と読むのは早い。クリックストリームパネルは、計測に同意したユーザー群からの推計であり、パネルの構成(年齢層・利用デバイス・地域の偏り)が変われば、同じ現象を測っていても出てくる数字は変わる。「ゼロクリック率」は、測定パネルという分母を経由した推計値であって、Googleの検索全件を悉皆調査した値ではない。この構造を理解しておかないと、「昨年は58%だったのに今年は68%、10ポイントも悪化した」という比較そのものが、パネルの切り替えを見落とした誤読になる。

「ゼロクリック検索」という同じ言葉が、日本のクリックストリーム型調査で約41%、日本の自己申告アンケート型調査で48.8%、米国のデータ提供元切替(SparkToro社がDatosからSimilarwebへ)で58.5%から68%へと、測り方によって異なる数字を示すことを表す図。
同じ「ゼロクリック検索」という言葉が指す、3つの異なる測り方と数字

03 国ごとに違う数字――日本は本当に低いのか

iPullRankの131億件調査――日本は最も低いグループ

2026年7月30日、SEOコンサルティング会社iPullRankのCate Dombrowski氏が、131億件のGoogle検索イベントを分析した調査を公開した。対象は2024年10月から2025年12月までの15か月間、910万人のユーザー、102億セッション。データソースはDatosのクリックストリームパネルで、「1セッションのうちオーガニックまたは有料のクリックが1件も発生しなかった割合」をセッションレベルのゼロクリック率と定義している。この定義で見た日本のゼロクリック率は約41%で、調査対象国の中ではベトナムと並んで最も低いグループだった。最も高かったのはフィリピンの54%、米国は49%だった。

同じ「日本」で、別の調査は48.8%を出している

ところが、同じ日本を対象にした別の調査は、まったく違う数字を出している。東京拠点のWebマーケティング企業Seedが2024年10〜11月に実施し、Nippon.comが2025年12月23日に紹介した調査によると、全国1,500人を対象にしたオンラインアンケートで「AIの回答だけで満足し、個別サイトを訪問しなかった」と回答した割合は48.8%だった。iPullRankの41%との差は約8ポイント。この差は、調査対象が誤っているからではなく、測っているものが違うからだ。iPullRankは実際の閲覧ログを集計したセッション単位の数字、Seedの調査は回答者本人の記憶と自己申告に基づく割合であり、両者は同じ「ゼロクリック」という言葉を使いながら、異なる方法で異なるものを数えている。

注意

下の表は、どの調査が「正しい」かを判定するためのものではありません。対象国・期間・データソースがそれぞれ違うため、優劣を比べることはできません。比べてよいのは、同じ行の中の数字だけです。

4つの調査を並べてみる

ここまでに確認した4つの調査を、対象・期間・データソース・数字で並べると、違いが一目で分かる。

調査対象・期間データソース結果
SparkToro
2024年7月公開
米国・EU
2022年9月〜2024年5月
Datosクリックストリームパネル米国58.5%
EU59.7%
SparkToro
2026年6月公開
米国
2024年基準・2026年1〜4月
Similarwebクリックストリームパネル2024年60.45%
2026年68.01%
iPullRank
2026年7月公開
日本ほか複数国
2024年10月〜2025年12月
Datosクリックストリームパネル
131億検索・910万人
日本約41%
(最低グループ)
Seed(Nippon.com紹介)
2025年12月紹介
日本・1,500人
2024年10〜11月
自己申告アンケート48.8%

04 Googleは「ゼロクリック」という主張に反論している

2021年、Google公式が出した反論

ここまで見てきた調査はすべて第三者によるものだが、Google自身もこのテーマに公式に反応している。2021年3月24日、当時Search担当のPublic LiaisonだったDanny Sullivan氏が、公式ブログでゼロクリック検索の主張に直接反論している。

出典(原文引用)

"Google Search sends billions of clicks to websites every day, and we've sent more traffic to the open web every year since Google was first created."(訳: Google検索は毎日何十億ものクリックをウェブサイトに送っており、Googleが創業して以来、オープンウェブへのトラフィックは毎年増え続けている)

「メソッドが誤っている」という指摘の中身

Sullivan氏はゼロクリックの主張について「flawed methodology that misunderstands how people use Search」(訳: 人々の検索の使い方を誤解した、欠陥のある調査手法に基づいている)と述べている。根拠として挙げているのは、モバイル検索結果画面に表示されるリンク数が平均26件に増えたこと、ローカル検索経由の来店・電話・経路検索といった接続が月40億件を超えること、検索結果の機能が増えるたびにオープンウェブへのトラフィックも積み増されてきたことだ。この記事は2021年のものであり、AI Overviewsが検索結果に本格的に組み込まれる前の状況を前提にしている。この記事を書くための調査では、2025〜2026年の高いゼロクリック率に対してGoogleが同じ形式で直接反論した一次情報は見つからなかった。見つからなかった、という事実も含めて正直に書いておく。

反論と調査、どちらも一次情報として扱う

この記事は「調査会社が正しく、Googleの反論は言い訳だ」とも、「Googleの反論が正しく、調査会社の数字は誇張だ」とも判定しない。両方とも、それぞれの前提のもとでは正しい一次情報として扱う。調査会社はクリックストリームパネルという限られた母集団から全体を推計し、Googleは自社サーバーが持つ全数のログから主張している。母集団の性質が違う以上、単純にどちらが「本当の数字」かを決めることはできない。WEBディレクターの実務としてこの記事が勧めるのは、どちらの数字を信じるかを選ぶことではなく、自分のサイトの実際に測った値を、自分のSearch Consoleから直接確認することだ。次章からその手順を扱う。

調査会社の推定値とSearch Consoleの実際に測った値を対比した図。調査会社の推定値は数百万〜130億件規模の検索ログを対象にし、業界全体の傾向や国ごとの違いには答えられるが自分のサイトの個別クエリには答えられない。Search Consoleの実際に測った値は自分のサイトの検索結果表示分すべてを対象にし、自分のクエリのクリック有無や掲載順位との関係には答えられるが、他サイトや業界全体の傾向には答えられないことを示す。
調査会社の推定値と、自分のサイトの実際に測った値――答えられる問いが違う

05 明日、自分のサイトで確認できること

チェックリストの狙い

04章で確認したとおり、業界の数字と自分のサイトの数字は別物だ。以下は、Search Consoleを使って、自分のサイトの「表示はあるのにクリックがない」状態を今日から確認できる手順に翻訳したものだ。チェックの状態はブラウザ内にのみ保存され、サーバーには送信されない。

  • Search Consoleの「検索結果」レポートを開き、対象期間を直近28日間にする
  • 表示回数の多い順にクエリを並べ替え、上位20件を書き出す
  • その20件のうち、クリック数が0のクエリを数える
  • クリック数0のクエリについて、CTR列と掲載順位列をあわせて書き出す
  • 掲載順位が10位以内でクリック0のクエリを3件選ぶ
  • その3件を実際に検索し、自分のページが結果画面のどこに出ているか目で確認する
  • 検索結果画面に強調スニペットやAI Overviewsが表示されているか確認する
  • フィルタでクリック数を昇順に並べ替え、下位10件のクエリを確認する
  • 直近3か月分の平均CTRを月ごとに書き出し、上がっているか下がっているか比べる
  • 「国」フィルタで日本以外の上位3か国を表示し、CTRの違いを比べる
  • 自社名やブランド名を含むクエリだけを抽出し、CTRが他のクエリと違うか確認する
  • 03章の表を見ながら、自分が引用しようとしている調査がどのデータソースに基づくか確認する

優先順位のつけ方

12項目のうち、1〜4番目はデータを取り出すための準備、5〜7番目は実際にクエリを1つずつ確認する作業だ。まずはこの7項目を今日中に終えることを目標にする。8〜9番目は継続的な監視の起点になる項目で、月次のルーティンに組み込むと効果が出やすい。10〜11番目は当サイトが08章で実践した自己検証と同じ形の作業で、余力があれば試してほしい。12番目は、この記事自体を含めて「引用されている数字の出どころ」を確認する習慣をつけるための項目だ。

06 表示はあるのにクリックがないクエリの見つけ方

Search Consoleの「検索結果」レポートを開く

05章の1〜4番目を、実際の画面操作として説明する。Search Consoleにログインし、左メニューから「検索結果」を選ぶ。公式ヘルプが説明するとおり、このレポートは表示回数・クリック数・CTR(クリック率)・平均掲載順位の4指標をクエリ単位・ページ単位で確認できる、Search Console最大の情報源だ。対象期間は既定の3か月ではなく、直近の状況を見るために28日間に切り替える。

表示回数でソートし、クリック数の列を見る

クエリタブに切り替え、表の見出し「表示回数」をクリックして降順に並べ替える。上位に来るのは、Googleが最も多く検索結果を出しているクエリだ。この状態で「クリック数」の列を見ると、表示回数が多いのにクリック数が0、あるいは極端に少ないクエリが見つかることがある。公式ヘルプの操作ガイドにもあるとおり、フィルタ機能を使えば「クリック数が0」という条件で一覧を絞り込むこともできる。

掲載順位とあわせて確認する

クリック0のクエリが見つかったら、必ず「平均掲載順位」の列もあわせて見る。掲載順位が50位や80位であれば、クリックが少ないのは当然でありゼロクリックの議論とは関係がない。注目すべきは、掲載順位が1桁〜10位台と高いのにクリックが0のクエリだ。このパターンが見つかったら、実際にそのクエリで検索し、自分のページの上に強調スニペットやAI Overviewsが出ていないか、目で確認する。以下は、この一連の操作を図にしたものだ。

Search Consoleの検索結果レポートを使って、表示はあるのにクリックがないクエリを見つける5つの手順を示すフロー図。1.検索結果レポートを開き対象期間を直近28日間にする、2.表示回数の多い順に並べ替える、3.クリック数の列を確認し0のクエリを書き出す、4.掲載順位の列とあわせて見て10位以内でクリック0のものを探す、5.実際にそのクエリで検索し強調スニペットやAI要約の有無を見る、という流れ。
表示はあるのにクリックがないクエリを見つける5つの手順

この一連の操作でできるのは「何がゼロクリックの原因か」を確定させることではない。できるのは、自分のサイトのどのクエリが、確認する価値のある候補かを絞り込むことだ。原因の切り分けまで踏み込む場合は、07章で扱う「表示されているだけでも価値がある場合」を先に確認してから判断することを勧める。

確認の入口を、レポートごとに分けて考える

Search Consoleには、ゼロクリックに関係する確認手段がいくつかある。それぞれ分かることと分からないことが違うため、目的に応じて使い分ける。

確認手段分かること分からないこと
検索結果レポートクエリ・ページ単位の表示回数・クリック数・CTR・掲載順位クリックされなかった理由(強調スニペットかAI Overviewsか単なる興味喪失か)
フィルタ機能クリック数0のクエリだけを抽出する絞り込み他サイトとの比較・業界平均との比較
生成AIパフォーマンスレポート
2026年6月新設
AI Overviews・AI Modeでの表示回数クリック数(07章で扱う)
当サイトの🔧 Search Console解説ツール各レポートの用語・読み方自分のサイト固有のデータそのもの

07 ゼロクリックでも価値がある場合

強調スニペットに出ているだけでも意味がある

Google Search Central公式ドキュメントによると、強調スニペットは通常の検索結果の書式を逆転させ、説明文を先に見せる形式の枠だ。クリックされれば、ページ内の該当箇所まで自動でスクロールして移動する仕組みになっている。クリックされなかった場合でも、検索結果の最上部に自社サイト名とロゴ、要約文が表示された事実は残る。これはブランド名の露出という点で、クリックとは別の価値を持つ。強調スニペットに表示されたくない場合は、nosnippetルールで個別に除外することもできる。ゼロクリックが増える前提に立つなら、検索結果からのクリックだけに依存しない導線(メールマガジン・SNSアカウント・ブランド名そのものでの指名検索)を、検索順位の改善とあわせて育てておくことも、実務上の代替手段になる。

Googleの新しいAIパフォーマンスレポートが見せてくれること

当サイトは以前、archives/125「Googleが見せたのは表示回数までだった」で、2026年6月にSearch Consoleへ新設された「生成AIパフォーマンスレポート」を扱った。このレポートは公式ヘルプが説明するとおり、AI OverviewsやAI Modeでの表示回数をSearch Console上で確認できるようにする機能だ。ただし当サイトが実際に確認した限り、このレポートが見せてくれるのは表示回数までで、クリック数は含まれていない。「表示された」という事実だけを取り出して見られるようになった点は、ゼロクリックであっても自分のコンテンツがAIの回答の材料になっているかどうかを確認する、新しい手がかりになる。

「クリックされない」と「見られていない」は違う

ここまでの内容を整理すると、ゼロクリックには少なくとも2つの異なる状態が混ざっている。1つは、検索結果に表示されてすらいない状態。もう1つは、表示はされているがクリックされていない状態だ。後者は、少なくとも一度は検索結果の画面に自社の情報が現れている。05章・06章のチェックリストと手順は、この2つを区別するために設計してある。表示回数がそもそもゼロなら、それは掲載順位や検索意図とのズレを疑う話であり、この記事の主題であるゼロクリックの議論とは別の対応が必要になる。この2つを混同したまま「ゼロクリックが増えている」とだけ結論づけると、本当は掲載順位の問題であるクエリまで、ゼロクリックのせいにしてしまう。05章・06章の手順で表示回数とクリック数を並べて確認するのは、この混同を防ぐためだ。

08 当サイトでの実践例

表示2,880・クリック3・CTR0.1%という実測

当サイトが2026年8月12日にSearch Consoleで確認した直近3か月の実際に測った値を、正直に開示する。表示回数2,880、クリック数3、CTR0.1%、平均掲載順位70.6位だった。CTRだけを見れば、この記事で挙げたどの調査よりも低い数字だ。だが、この数字を「ゼロクリック検索の影響」として語るのは誤りだ。平均掲載順位70.6位は検索結果のおよそ7ページ目に相当する。7ページ目まで見に行くユーザーはそもそも少なく、クリックが少ない主な理由は表示位置であって、ゼロクリック現象そのものではない。

注意

この実際に測った値は当サイト1サイトぶんの数字であり、他のサイトに一般化はできません。ここで示したいのは数字そのものではなく、「掲載順位を確認せずにゼロクリックのせいにしなかった」という手順です。

ゼロクリックのせいだと決めつけなかった理由

この切り分けは、06章のチェックリストが示す手順そのものだ。掲載順位が低いクエリでクリックが少ないのは当然の結果であり、ゼロクリックという言葉を持ち出す前に、まず自分の掲載順位を確認する必要がある。もし当サイトが「ゼロクリック検索のせいでクリックが減っている」と結論づけていたら、本当に取り組むべき課題(掲載順位を上げること)から目をそらしてしまうところだった。数字が低いことと、その原因を業界トレンドに帰属させることは、別の作業だ。

「順位が落ちた」週と、この記事の切り分けは同じ形をしている

この切り分け方は、当サイトが以前archives/122「『順位が落ちた』と言われた週、公式は何を確認していたか」で書いた内容と同じ骨格を持っている。あの記事では、SEOコミュニティで話題になった順位変動について、Googleの公式情報源(Search Status DashboardとSearch Central Blog)を先に確認し、確定発表がゼロであることを確かめたうえで、第三者による観測情報を「二次情報」として切り分けて扱った。今回の記事でも同じ順序を踏んでいる。業界の数字(調査会社の推定値)を先に鵜呑みにせず、自分の一次情報(Search Consoleの実際に測った値)を確認してから、両者の関係を判断する。

測った記録があること自体が、次の判断の材料になる

当サイトはarchives/98「1,238記事の8割が『土俵に上がっていない』ことに気づいた日」で、感覚ではなく実数を数えることの効果を書いた。今回のCTR0.1%という数字も、同じ姿勢で得たものだ。数字が良くないことを隠さず記録しておけば、翌月・翌年に同じ確認をしたとき、変化があったかどうかを比較できる。ゼロクリック検索という業界全体の議論に一喜一憂するより、自分のサイトの実際に測った値を定点で持ち続けることのほうが、WEBディレクターの実務としては再現性がある。当サイトのarchives/130「『0件』は安心ではない、『N件』は危険ではない」で確認した「0という数字にも2種類ある」という視点は、CTR0.1%という数字にもそのまま当てはまる。それは「クリックがほぼ無い」という実態であって、「測れていない」わけではない。来月・来年に同じ手順でSearch Consoleを開いたとき、この数字と並べて比べられるように、今日確認した4つの実際に測った値(表示回数・クリック数・CTR・平均掲載順位)は、そのまま記録として残しておく。

SEO情報サイトが伝えた「ゼロクリック47%」の出典は見つからなかった。かわりに見えてきたのは、測定パネルやアンケートの違いで40%台から60%台後半まで動く「ゼロクリック」の実像と、自分のSearch Consoleで確認する手順だ。
2025/05/31
THU
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