外部の順位変動レポートと、自分のサイトの記録を突き合わせる手順 ── 『大変動週』は、自社にも起きていたか(2026年8月時点)
外部の順位変動レポートと、自分のサイトの記録を突き合わせる手順 ── 『大変動週』は、自社にも起きていたか(2026年8月時点)
01 いま最新版は何か — 2026年の「順位変動が大きかった週」を、外部の指数で並べる
「順位変動指数」とは、何を数えた数字か
SEO業界では、多数のサイトの検索順位を毎日横断的に観測し、前日との差分を集計した順位変動指数と呼ばれる数字が、複数の会社から公開されています。今回、材料として使う株式会社ディーボの調査記事は、同社が2008年から運用している計測ツール「namaz」が集計したデータをもとに、2026年1月1日から8月20日までの変動を12ジャンル別に日次で数値化したものです。この指数は目安として14以上を「大変動」、11.5〜13.9を「不安定」、11.5未満を「安定」と区分しています。
ここで押さえておきたいのは、この数字が多数のサイトの平均的な動きであって、特定の1サイトの順位そのものではないという点です。同記事は算出方法について「namazが継続追跡しているキーワード群の検索結果における順位入れ替わりの大きさを日次で指数化した」と説明していますが、対象サイト数や追跡クエリ数といった詳細は明記されていません。この限界は、04章🅱で改めて扱います。
出典
本記事の数値は、すべて株式会社ディーボ「2026年のGoogle順位変動を実際に測った数値で振り返る」(namazが集計したデータに基づく分析記事)から引用しています。当サイト自身が計測した数値ではありません。
2026年に指数が大きく動いた時期
同記事によれば、2026年に入ってから8月20日までの間に、指数が大きく動いた時期は少なくとも5つあります。3月25日のMarch 2026 spam update(ピーク13.0・日本国内では限定的)、5月22日から6月2日にかけてのMay 2026 core update(6月11日にピーク21.9)、6月24日から26日のJune 2026 spam update、7月11〜12日・18〜19日・23〜24日の3波にわたる非公式な変動(7月21日に年内最大のピーク23.4を記録)、そして8月18日から21日のAugust 2026 spam updateです。以下は、この5つの時期を一覧にした表です。
| 時期 | 呼び方 | ピーク値 | Google公式の発表 |
|---|---|---|---|
| 3月25日 | March 2026 spam update | 13.0 | あり |
| 5月22日〜6月2日 | May 2026 core update | 21.9 (6月11日) | あり |
| 6月24日〜26日 | June 2026 spam update | 不明 (記事内に数値記載なし) | あり |
| 7月11〜12日 18〜19日・23〜24日 | 非公式な変動 (3波) | 23.4 (7月21日・年内最大) | なし |
| 8月18日〜21日 | August 2026 spam update | 14.0 | あり |
公式発表のない7月の変動が、年内最大だった
この表で目を引くのは、Googleの公式発表を伴わない7月の変動が、年内で最も大きな数値を記録した点です。同記事は、この7月の変動について海外のSearch Engine Roundtable・Semrush・Mozcast・AccuRankerといった複数のトラッカーでも同時期にスパイクが報告されたと述べ、グローバルなアルゴリズム調整の可能性を示唆していますが、原因そのものは特定していません。この点は当サイト側で裏付けを取れていないため、事実としてではなく「同記事がそう述べている」という形でのみ扱います。
公式発表のあるアップデートより、発表のない変動の方が大きい場合があるという2026年の傾向は、「公式発表を待ってから確認する」だけでは変動を見逃す可能性があることを示しています。同記事は運営者向けの助言として、変動指数が高い日に自社の順位が動いていたなら主な要因はアルゴリズム側にあると見極めること、公式発表の有無にかかわらず順位の計測を定期的に行うことの2点を挙げています。
02 なぜ・背景 — 「業界で大変動」と「自分のサイトが動いた」は別の話
「順位が落ちた」と「大変動週だった」を混同しない
順位が落ちたと感じたとき、直近に大きな指数が報告されていれば、つい「あのアップデートのせいだ」と結び付けたくなります。しかし、archives/122で扱ったとおり、「順位が落ちたと騒がれた週に、Googleの公式は何も発表していなかった」というケースは実際に起こります。逆に、指数上は大変動とされた週でも、自分のサイトには何も起きていないことも珍しくありません。指数と自分のサイトの記録を、実際に重ねて確認するまでは、どちらの可能性も否定できません。
ジャンルによって、平均の指数は最大2.7倍違う
同記事は、ジャンル別の年間平均指数として、少なくとも次の6ジャンルの数値を挙げています。最大は就職・転職ジャンルの22.2、最小は財務・金融・法律ジャンルの8.3で、その差は約2.7倍です。残る6ジャンル(BtoB・健康と医学・美容とファッション・IT総合・日用品と家財など)も集計単位には含まれていますが、記事内で数値までは示されていません。
| ジャンル | 年間平均指数 |
|---|---|
| 就職・転職 | 22.2 |
| 住宅・引越し | 19.5 |
| 暮らし・結婚・恋愛 | 19.1 |
| 食品・グルメ | 12.0 |
| 旅行・観光 | 11.0 |
| 財務・金融・法律 | 8.3 |
この差が意味するのは、「業界全体」として発表される1つの数字を、自分のサイトのジャンルを確認せずにそのまま自社に当てはめると、実態より大きく見積もったり、逆に小さく見積もったりする可能性があるということです。就職・転職ジャンルのサイトが「今週は指数22.2だから通常運転」と捉えて良い変動幅と、財務・金融・法律ジャンルのサイトが同じ22.2を見たときに捉えるべき変動幅は、同じではありません。
自分のサイトのジャンルが、指数の対象に含まれているとは限らない
もう一つ確認すべき点は、その指数がどのジャンルを対象に集計されたものかです。上の表の6ジャンルと、記事内で数値が示されていない残り6ジャンルを合わせても、あらゆる業種を網羅しているとは限りません。自分のサイトのジャンルが、参照した指数の集計対象に含まれているかどうかを確認できない場合、その指数の数字を自社の根拠として直接使うのは避けたほうが安全です。この確認手順は、04章🅲で具体的に扱います。
同記事が示す、もう1つの助言
同記事は、変動が大きいジャンルのサイトに向けて、指名検索・メールリスト・SNSなど、順位変動の影響を受けにくい集客チャネルを育てることも助言として挙げています。これは順位変動そのものへの対策ではなく、変動に左右されにくい経路を別途持っておくという、リスク分散の考え方です。本記事では順位変動の確認手順を中心に扱いますが、変動の大きいジャンルに属するサイトほど、この種の分散も合わせて検討する価値があります。
03 この記事で出てくる用語
順位変動指数とは
用語
順位変動指数:多数のサイトの検索順位を横断的に観測し、前日との差分を集計して数値化した指標です。特定のベンダーが独自に算出するもので、Google自身が公式に発表している数値ではありません。今回の材料であるnamazのように、目安となる区分値(大変動・不安定・安定)をベンダーごとに設定しているのが一般的です。
期間比較(Compare)とは
用語
Search Consoleの検索パフォーマンスレポートが持つ機能で、2つの期間の数値を並べて比較できます。公式ヘルプ(Performance report: Advanced filtering and comparison(訳: パフォーマンスレポートの高度なフィルタと期間比較))が案内する機能で、一度に比較できるのは1組の期間のみです。新しい比較条件を設定すると、それまでの比較表示は置き換わります。
掲載順位(Position)とは
用語
公式ヘルプ(Search Console Performance report(訳: Search Console検索パフォーマンスレポート))は、掲載順位を「A relative ranking of the position of your link on Google, where 1 is the topmost position(訳: Google上でのリンクの位置を示す相対的な順位。1が最上位を表す)」と定義しています。同ページはあわせて、表示回数を「How often someone saw a link to your site on Google(訳: あなたのサイトへのリンクがGoogle上で表示された回数)」、クリック数を「How often someone clicked a link from Google to your site(訳: Googleからあなたのサイトへのリンクがクリックされた回数)」と説明しています。
ランキングシステムとは
用語
公式ドキュメント(Ranking systems guide(訳: ランキングシステムガイド))は、Googleの検索順位が単一のアルゴリズムではなく、複数の自動化されたランキングシステムの組み合わせで決まると説明しています。同ページは、サイト全体の良好なシグナルがあっても「そのサイトのすべてのコンテンツが常に高くランクされるわけではなく、悪いシグナルがあるからといってすべてが低くランクされるわけでもない」と明記しており、順位の変動が記事単位・ページ単位で起きる場合があることを示しています。
04 型別 — 外部指数の使いどころ・測っていないこと・手順
🅰 適用範囲 — 外部の順位変動指数で分かること
外部の順位変動指数は、「業界全体として、動きが大きかった日はいつか」という当たりを付けるために使えます。03章で見たとおり、Googleの検索順位は複数のランキングシステムの組み合わせで決まるため、原因不明の順位変動が起きたときに「自分のサイトだけの問題か、それとも広い範囲で起きていることか」を最初に切り分ける材料になります。01章の表のように、公式発表のある時期とない時期の両方を一覧できる点も、自社だけでは把握しづらい情報です。
🅱 この調査が測っていないこと
一方で、この種の指数が測っていないことも明確にしておく必要があります。第一に、自分のサイトが実際に動いたかどうかは、指数からは分かりません。指数は多数のサイトの平均であり、個別のサイトの動きを直接示すものではないからです。第二に、仮に自分のサイトが同じ時期に動いていたとしても、その原因が本当に指数の示すアップデートによるものかは、指数単体では確認できません。
第三に、02章で触れたとおり、自分のサイトのジャンルが集計対象に含まれているとは限りません。第四に、01章で確認したとおり、この種の指数の算出方法は対象サイト数・追跡クエリ数といった詳細が非公開であることが多く、数値の厳密な再現性を検証する手段が無いという限界もあります。
🅲 手順 — 外部指数と自社データを重ねる4段階
実際に重ねて確認する作業は、次の順番で進めます。第一に、参照する外部指数の記事から、「大変動」とされた日付を3件以上書き出します。第二に、Search Consoleの期間比較機能で、それぞれの日付を含む1週間と、その前の1週間を比較します。第三に、比較結果の掲載順位・クリック数・表示回数の差が、通常の日々のブレの範囲を超えているかを確認します。第四に、動きが見られた場合は、その動きが本当に外部指数の時期と重なっているのか、それとも自分たちの記事更新など別の要因によるものかを切り分けます。この4段階を、05章のチェックリストに具体化しています。もし切り分けの結果、動いた時期がコアアップデートの展開期間とはっきり重なっていた場合は、当サイトのGoogleコアアップデートで順位が動いたとき、WEBディレクターが最初に確認する13項目のチェックリストに進んでください。
注意
Googleのコアアップデートに関する公式ドキュメントは「展開が完了してから少なくとも1週間は待ってから分析することを推奨する」と明記しています。展開中の期間を比較に含めると、まだ動き切っていない途中経過を「結果」として読んでしまうことになります。05章の手順では、比較期間に展開中の日付が含まれていないかを必ず確認します。
05 自分のサイトで確認するチェックリスト
チェックリストの4つの観点
ここまでの内容を、今日から手を動かせる作業に翻訳しました。観点は、外部指数の日付の書き出し、Search Consoleでの数値確認、ジャンルの適合確認、記録の保存の4つに分かれます。チェックの状態はブラウザ内にのみ保存され、サーバーには送信されません。
実務のヒント
期間比較は週単位で行うのが基本です。日別の数値だけを見ていると、曜日による自然な増減と、アップデートによる変動を混同しやすくなります。1日だけの比較では、通常のブレと大変動の判別がつきにくい場面が多くあります。
- Search Consoleの「検索結果」レポートを開き、期間を直近16か月など長期に設定してCSVでエクスポートしておく
- 参照する外部の順位変動レポートが挙げている「大変動」とされた日付を、最低3件書き出す
- 書き出した日付それぞれについて、期間比較機能で「その日を含む1週間」と「その前の1週間」を比較する
- 比較結果の平均掲載順位の差を、直近4週間分の週次の変動幅と見比べて、通常の範囲を超えているか確認する
- 同じ比較で、クリック数と表示回数も見て、順位が動いても数値が変わっていないページが無いか確認する
- 手動対策レポートを開き、通知が1件も表示されていないことを確認する
- 自分のサイトの主なジャンルを1つ書き出し、参照した外部指数の集計対象ジャンルに近いものが有るか確認する
- 近いジャンルが見当たらない場合は、その指数の数字を自社の根拠として使わない、とその場で決めておく
- 比較に使った期間に、展開中(rollout中)の日付が含まれていないか確認し、含まれていれば展開完了後の期間だけで比較し直す
- 動きが見られたページを上位5件書き出し、直近30日以内に自分たちが加筆・修正していないか照らし合わせる
- 同じ5件について、URL検査ツールでいつ最終クロールされたかを1件ずつ確認する
- 突き合わせた結果を、日付・外部指数の値・自社の平均掲載順位の差の3列で1枚の記録に書き出す
- 重なりが見られなかった場合も、「重ならなかった」という結果をその記録に残す
13項目の内訳と、かかる時間の目安
最初の2項目は外部指数の日付の書き出し、3番目から6番目はSearch Consoleでの数値確認、7番目と8番目はジャンルの適合確認、9番目から11番目は展開期間と自己要因の切り分け、12番目と13番目は記録の保存に対応しています。すべてに目を通す時間の目安は1サイトあたり25分程度です。特に13番目の「重ならなかった結果も記録する」は見落としがちですが、archives/130で扱ったとおり、「0件」という結果自体が、次に同じ確認をするときの比較材料になります。
06 突き合わせの手段を比較する
4つの手段、それぞれの向き不向き
順位変動の実態を確認する手段は、外部の順位変動指数だけではありません。以下は、05章のチェックリストで使った手段を含め、確認できることとできないことで整理した表です。
| 手段 | 確認できること | 確認できないこと・注意点 |
|---|---|---|
| 外部の順位変動指数 (業界横断) | 業界全体で動きが大きかった時期の傾向 | 自分のサイトが動いたかは分からない。対象ジャンル・サイト構成が非公開 |
| Search Consoleの 期間比較 | 自社サイトの実際の掲載順位・クリック数の変化 | 変化の原因(アップデートか、自己要因か)はSC単体では分からない。一度に比較できる期間は1組 |
| 有料の順位計測 ツール(日次) | 特定キーワードの毎日の順位を自動で記録 | 追跡キーワード数に応じた費用が発生する。業界全体の動きは見えない |
| 当サイトの (🔧 Search Console解説ツール・無料) | 各レポート・各指標の読み方の解説 | 実データそのものは出力しない(解説専用) |
外部指数から入るか、自社データから入るか
4つの手段には優先順位があります。順位の変動に気づいた直後は、まず自社のSearch Consoleで実際に何が起きているかを数値で確認するのが基本です。外部の順位変動指数は、その数値だけでは判断がつかない「これは自分のサイトだけの問題か、それとも広い範囲の話か」を切り分けるための補助材料として使います。どちらか一方だけを見て結論を出すのではなく、両方を重ねて初めて、原因の見当がつけやすくなります。数値の読み方に迷ったときは、当サイトの🔧 Search Console解説ツールで、指標ごとの意味を確認できます。
有料の日次計測ツールとの違い
特定のキーワード群を毎日追跡する有料の順位計測ツールは、外部の順位変動指数とは性質が異なります。順位変動指数が「多数のサイトを横断した業界全体の指標」であるのに対し、日次計測ツールは「自社が指定したキーワードだけを、毎日記録し続ける」仕組みです。日次計測ツールを既に導入している場合は、外部指数の日付と自社の日次記録を直接突き合わせられるため、05章の手順のうち期間比較の部分を、日次の折れ線グラフの目視確認に置き換えることができます。導入していない場合は、Search Consoleの期間比較機能が最も手近な代替手段になります。
07 当サイトで確かめたこと
05章の手順を、当サイトの過去記事の日付で試した
05章の手順のうち、「動きが見られたページの直近の加筆・修正を照らし合わせる」という考え方を、当サイト自身の過去記事の日付で確かめました。01章の表にある5月22日から6月2日のMay 2026 core updateの期間と、当サイトがコアアップデートの公式記述を検証したarchives/114の内容とを照らし合わせました。
その結果、archives/114は7月9日時点の継続的コアアップデートに関する記述を扱ったものであり、5月のコアアップデートを直接扱った記事ではありませんでした。つまり、この2つの時期は重なっていません。
「重ならなかった」ことを、そのまま記録する
05章の13番目の項目にあるとおり、この「重ならなかった」という結果も、そのまま記録として残します。過去1年分の外部指数の値と、自社のSearch Console記録を重ねて可視化する仕組みは、この記事を書いている時点ではまだ用意していません。今回試したのは、あくまで過去記事の日付という限られた材料を使った、手順そのものの動作確認です。実際のSearch Console数値を使った突き合わせは、05章のチェックリストに沿って、記事の公開ごとに個別に行っていく運用を予定しています。
08 このテーマの、これまで
「順位が落ちた」騒ぎと、公式の沈黙を切り分けた回
順位が落ちたと騒がれた週に、Googleの公式が実際には何も発表していなかった事例を検証した回があります(archives/122)。本記事の02章で扱った「業界で大変動」と「自分のサイトが動いた」は別の話という整理は、この回で扱った「変動と、自分に起きたことを切り分ける」という視点の延長線上にあります。
「0件」という結果の扱いを検証した回
同じ1日に、サイトを調べる針が「0件」の側にも「N件」の側にも倒れた事例を記録した回があります(archives/130)。本記事の05章で「重ならなかった結果も記録する」と案内した考え方は、この回で扱った「0件は安心ではない」という視点と地続きです。
コアアップデートの公式記述を検証した回
「Googleが継続的コアアップデートを認めた」という情報が、公式のどの記述に基づくものかを検証した回もあります(archives/114)。本記事の07章で扱った当サイト自身の確認は、この回の記事の日付を材料にしています。
2026年8月のスパムアップデートを検証した回
2026年8月のスパムアップデートの展開開始から完了までを、公式のステータスダッシュボードの記録で確認した記事もあります(Googleの2026年8月スパムアップデートが完了 — 順位が動いたときに確認する手順)。01章の表にある8月18日から21日の変動は、この記事で扱った展開日時と対応しています。
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